本書は、タイトルのとおり、認知言語学の入門書である。
本書の特徴は、全部で14章立てになっていて、大学や短大の半期の授業回数
に相当するよう作られているため、大学や短大の教科書としても使用しやすい
ことである。
レベルとしては、言語学等の授業で大学1,2年生程度に行うのに適したもの
であり、あくまで入門的に認知言語学の考え方を知ることができるものである。
また、本書で提示されている例文も日本語に限ったものであり、英語(や他言語)
が苦手な学生でも読みやすいように工夫されている。
内容としては、認知言語学の考え方として比較や一般化や関連付けや経験の重視
といったものを紹介した後、カテゴリー化とプロトタイプ、視点、メタファー、
メトニミー、主体化、身体性、意味と認知領域、イメージスキーマ、フレーム、
百科事典的意味、使用依拠モデルなどにふれられている。最後の章では、生成文法
や生成意味論、認知科学、意義素論や生成語彙論のクオリア構造等といった、周辺
の理論にもふれることで、相対的に認知言語学を位置付けている。
また、それぞれの章は10ページ弱ほどの分量であり、これも1回の授業(90分程度)
にちょうどいい分量である。章の最後には、その章のまとめと練習問題もついている。
内容的には著者の前著『日本語で学ぶ入門からの認知言語学』(研究社刊)と似ている
(一部重複している)。本書の性質上、入門的な内容のみに終始しているため、認知
言語学の興味深いエッセンスにはまだふれることはできないだろう。本書を足がかりに、
刊行されている他の認知言語学の研究書にふれることで、さらに理解や関心が深まるだろう。