副題にある「ケアの方法をさぐる」直截の方策は出てきません。しかし、この本は認知症による一見不可解な行動の背景にある、患者の困惑や不安を20の症例から見事に説明しています。いろいろな“異常”行動が実は理解可能な行動なのです。
実際、現場において、その理解なくして、患者さんを落ち着かせるケアは不可能です。なぜなら、患者が「物忘れ」によってどれだけ当惑しているか知らないと、ケアを施す側も心に余裕を持つことができないからです。
また、それぞれの患者に見合った介護の方法を、それぞれの介護者がさがす。この当たり前のことをするためにも、被介護者の状況を理解することが不可欠なのは言うまでもないでしょう。
遠回りにも見えますが、ケアの方法を自分自身でさぐる上で、一番大切なことを学べる本です。認知症に関わらざるを得なくなってしまった人は必読です。