超高齢化社会の昨今、認知症の問題は、避けて通りにくいですね。
認知症に関して、教科書的な記述ではなく、著者の経験を盛り込んで、興味深く書かれています。
経験豊富な専門家としての著者の解説は、医療や介護のプロから、認知症に接するのが初めての方まで、非常に有用です。
全体は3章に分けられ、認知症の基本、それぞれの認知症の特徴、認知症のケアの実際に分けて記述されています。
神経解剖学病理学などの知識の程度に応じて、必要な章の必要な項目のみ拾い読みするだけでも、十分に活用出来ます。
本書では、専門性の高い参考書とは異なる、実用的な知識が得られます。
何故アルツハイマー病では物盗られ妄想が多いのか?といった事が詳述されているし、
高齢者の運転の問題、食行動異常、ケアとリハビリの問題点などの実際的な問題の記述などもなされています。
本書は、代表的な認知症であるアルツハイマー病やレビー小体型認知症については、かなり突っ込んで記述されています。
特に、頻度は高いのにあまり名前が知られていないレビー小体型に関する知識は、非常に有用です。
最後に認知症ケアの熊本モデルについても紹介され、参考になります。
本書を通読して感じる事は、病院、老健、特別養護ホーム、ケアハウスなどの実態の、好ましくない部分には触れられていない点です。
これらの機関は慈善事業を行っているのではなく、利潤を追求せざるを得ない問題があり、認知症をきたしても、簡単に利用出来る訳ではありません。
ただ、これらの現実に対応する前に、本書で知識を十分に得ておくと、結果は好転すると思います。
これぞ実用書です。