基礎心理学というくくりになる認知心理学の概説書です。内容は認知に関する基礎的な知識と概説、および最近の(だいたい2007くらいまでの研究や論文発表)知見を非常に丁寧に説明されています。著者の方々はかなり豪華です。
有斐閣のこのNewLiberalArtsSelectionシリーズは、私が読んだ各分野全て非常にクオリティが高く、この認知心理学も一般書籍と比べて少々値が張る(心理学の概論書では標準の範囲内かと)のに目をつむれば良書と言えるでしょう。内容は心理学における認知という学問について、その歴史、認知の基礎的なメカニズム、認知の各分野〜、と展開していきます。表や図も多く、コラムも身近な生活の中に認知心理を感じれる内容もあり、説明も細かく丁寧です。
最近の心理学では対人関係、ストレス、臨床といった分野に人口が偏っていると聞きます。実際世相としてそうなのかもしれませんが、認知は心理学の根幹に大きくかかわっている分野なので、心理学の学部生であるならば自分の研究分野と直接かかわりが無くとも、一読の価値は十分にあると思います。
ただ、わかりやすく説明されているとはいえ、「心理学」から一つ掘り下げて「認知心理学」と銘打っている訳ですから、一般の方には少々難しいかもしれません。
最後に。認知に興味のある方はそれこそ様々な認知の領域(社会認知、視覚認知、イメージ、…)を扱っているため飽きないですし、認知心理学という非常に広い分野の土台がこれ一冊でかなり鮮明になると思います。
敷居は少々高いかもしれませんが、わかりやすく概説書以上の内容です。久しぶりに「良い」心理学の書籍だと思いました。