世界史の知識を身に付けるために購入するのであれば、興味のある箇所、または必要に応じ参照するのがよいでしょう(こんなことは手に取ってみれば分かると言われそうですが)。大学受験生(通読していたら時間がないと思うのだが)か、よほど世界史に興味を持った読書好きの人でなければ、本書は通読できないでしょう。
私は、高校で世界史を履修したので、ニュースに関連のある箇所を読んだり、ふと興味を持った地域・時代を読んだりしています。本書はカラー刷りで、イラスト、地図、写真、囲み記事を用い、読みやすい体裁を取っているので、こういう用途に限るなら、この本はお薦めです。
しかし、この本は「帯に短し襷に長し」の感があります。すなわち、世界史に本格的に興味を持ち知識を身に付けたいのなら、この本の叙述では物足りません。このことは、地域別に世界史を叙述したシリーズ本、例えば河出書房新社の「
世界の歴史」が全24巻(他の出版社も同じようなものです)であることなどから窺い知ることができます。
また、世界史を理解する、とりわけ、受験という観点から見れば、知識の多さに振り回されることになり兼ねません。世界史は、時空間で歴史事実を理解し、その原因や結果、ひいては後世に与えた影響、そして、他の文化圏との違いを押さえる姿勢が必要と思うのですが、知識に捉われ過ぎると、そういう基本的な姿勢を崩してしまうことがあるからです。そういう面からは、本書の知識量は多過ぎると思います。
そして世界史は確かに歴史科目ですが、日本史と決定的に違うのは、時空間的な理解、言うなれば3次元空間を連想し、立体的に歴史事実を理解する必要があることでしょう。日本史は、学者でもない限り、そこまでの複雑さは要求されないように思います。このことから、詳述されていればよいというわけでもありません。この点は読み手側が留意すべきでしょう。
結論ですが、教養書としてなら導入本として、時事ネタの押さえのためなら辞書的に使えるという理由でお薦めです。