「医師と患者はお互いに異なる価値基準を持って生きていること」を、具体的な事例(これが面白い)を示しながら、解きほぐしてくれます。
「不定愁訴」だった人が、診断がつくと患者になることや、気功師をよぶことの是非、病気の説明は明解なのに見込みや予測になると歯切れが悪くなるなど、エッセイ風に話が展開していきます。
何よりも共感できたのは、EBMやガイドラインに対する問題点の指摘でした。そのうえでNarrative Based Medicine(NBM)を紹介しています。患者のNarrative(物語)を治療方針の選択に用いるもので、まだ具体的な手法としては未熟だそうですが、紹介された事例は医師にとっても患者にとってもwin-winの関係といえるでしょう。
いずれにしてもパターナリズムからインフォームドコンセントまで、医師と患者の関係の変化がよくわかる本でした。