透明なシルクのように艶やかなヴァイオリン(1714年製作のストラディヴァリウス「ドルフィン」)の音色。ゆったりと、誘い込むような歌い口で弾き、紡がれていくメロディーラインの雅やかな美しさ。第一曲、サン=サーンスの『序奏とロンド・カプリチオーソ』の出だしから、「これは、素敵だ!」と、諏訪内晶子(すわない あきこ 1972.2.7- )のヴァイオリンの調べに引き込まれました。
次の、同じサン=サーンスの『ハバネラ』がまた、えらい美人に出くわしたみたいな魅力的な演奏だし、アルバムのタイトルにもなっているショーソン『詩曲』に豊かな情感が満ちていること、小品ながらあたたかくて親しみやすい語り口がよかったクライスラーの『才たけた貴婦人(ルイ・クープランのスタイルによる)』と、諏訪内さんのヴァイオリンは本当に素晴らしかった!
主にフランスの作曲家の、19世紀半ばから20世紀前半に作曲されたヴァイオリン音楽を収めた本アルバム。曲の選択と配置も、実に見事だと思いましたね。サン=サーンスの二曲の後にラロの小品で一息ついた後、要(かなめ)となるショーソンの曲を置き、クライスラーの地味な、でも、このアルバムにふさわしい小品ふたつを並べた後に、ベルリオーズとラヴェルの技巧的、情熱的かつ華やかな曲で締めくくる。調和とセンスを感じる曲の並びに、「アルバムとしての完成度、バツグンに高いなあ」と、惚れ惚れしてしまいました。
ショーソンの『詩曲』に関しては、これまで個人的に、ジネット・ヌヴーが弾いた古い演奏に惹かれ続けていた私。今回、その呪縛から、かなり解放された気がしました。いや、今度は新たに、諏訪内晶子のヴァイオリンの虜になったのかも(笑)
2004年2月2日〜4日、イングランド東部のハートフォードシャー、ワトフォードのコロッセウムでの録音。