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評伝 斎藤隆夫―孤高のパトリオット (岩波現代文庫)
 
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評伝 斎藤隆夫―孤高のパトリオット (岩波現代文庫) [文庫]

松本 健一
5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

秘書、カネ、利権、政治家のあり方が改めて問われている。粛軍演説で有名な戦前・戦中の硬派政治家・斎藤隆夫の生き方をとらえ、併せて政治危機脱出法を考える。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

斎藤隆夫の名は、二・二六事件当時の軍部の独裁を批判した一九三六年の「粛軍演説」と、四〇年の「支那事変処理に関する質問演説」で政府に厳しく迫り衆議院議員を除名されたことによって知られている。本書は彼の思想の形成過程、その精神や政治哲学、二つの演説の内実を子細に検討した本格的評伝である。略年譜、人名索引を付す。

登録情報

  • 文庫: 413ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2007/6/15)
  • ISBN-10: 4006031548
  • ISBN-13: 978-4006031541
  • 発売日: 2007/6/15
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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15 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
斎藤隆夫は「二二六事件直後に粛軍演説を行った」という紋切り型の形容にとどまる人物ではないのに、彼の思想がこれまでまともに論じられたことがなかったのは一体何故なのか?おそらくその思想の「毒」が強すぎたことが原因ではないか、というのが著者の見解ですが、どの部分が「毒」なのかは本文を読んでください。私は昭和史ファンでもなんでもないのですが、本書は一気に読むことができました。はじめて読んだ粛軍演説のくだりは、やはり圧巻でした。
このレビューは参考になりましたか?
7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 斎藤隆夫は粛軍演説・反軍演説で軍部を厳しく批判した立憲政治家として有名だが、その半生、思想について肉迫した著作はほとんどなかった。北一輝研究で名高い松本健一によるこの著作は、その斎藤に初めて肉迫した記念すべき著作である。
 「聖戦の美名に隠れ云々」という、かの反軍演説についてはもちろん詳しい。その部分は、この本でもクライマックスとなっているが、やはり斎藤の立憲政治家としての思想形成をなす半生を記した部分に注目したい。苦学して早稲田に学び、イェール大学に留学した経験などを通じ、日本の土着の精神性に基礎を置きつつ、欧米の進歩的学説などを取り入れた「一大日本教」が必要だという認識に至ったこと、今まで明らかにされなかった加藤弘之との論争から、徹底して立憲政治の正統性を説いたことは、非常に重要なものである。これらにこそ、欧米学説一辺倒の浮ついた知識人に堕することなく、かつ国粋一辺倒の安直なナショナリストにもならない、バランス感覚に優れたリアリスト斎藤隆夫の全てがある。松本は、斎藤が反軍演説に至る必然性を論証することに成功したと言えよう。
 また、ここには北一輝との類似性が潜んでいることも見逃せない。松本は北一輝の天皇機関説的発想と斎藤の天皇機関説とを詳細に比較し、極めて類似していることを論証する。これは、単に北一輝研究家の趣味によるのではない。実際には真逆の人生を歩んだ二人の奇妙な類似性は、進歩的学説に魅了されつつも、あくまで「日本」という土壌に立っていることにこだわったという両者の共通性に潜んでいる。
 一方で、松本は、斎藤のリアリズムには「毒」が潜むことを指摘する。斎藤は、弱国が強国に支配されるのは弱いからだ、搾取を逃れるには強くなる他ない、それが国際政治の現実だと暴露する。しかし、この論理は、あまりにも我々にとって過酷で、受け止めがたいばかりでなく、力崇拝主義に容易に悪用される危険を持っている。これを我々はどう受け止めるか。松本の提起することは、斎藤の理解にとって避けることのできない問題点である。
 観念で現実を隠蔽することを厳しく批判した斎藤には、学ぶべき点は多い(カーのイデオロギー批判の手法に通ずるものがある)。だが、そこに潜むパワーの論理の危険な側面も、合わせて理解することを忘れてはならない。それらを丸ごと受け入れた上で、望ましい思考とは何かを見つめ直すことが、読者に残された宿題である。
 
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9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
政治家 2004/12/21
形式:単行本
「聖戦の美名に隠れて…」のフレーズで有名な粛軍演説を行った政治家。斉藤隆夫に対しての印象はこの程度のものだと思います。
私の印象も同じです。
斉藤隆夫は、確かに粛軍演説を行いました。戦争へ突き進む日本に於いて、国会という場であのような演説を行うことがいかに大変で勇気のいることか…想像だにできません。
しかし、斉藤隆夫はそれだけの人物ではないのです。自らの信念を貫きとうす精神力、政治家として国民の為に政治腐敗、軍の横暴に立ち向かう勇気。政治家としても人間としてもとてもすばらしい人です。
本書では、斉藤隆夫の人間性や政治観、倫理観がいかに養われてきたのか、どのように闘ってきたのかよく描かれています。
斉藤隆夫自身の言葉と共に、松本健一さんの解説が大変わかりやすいです。
現在の政治家にも、このような崇高な精神を持った人が一人でもいれば日本も、もう少し素敵な国になったでしょうに…
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