本田宗一郎氏に関する書物を初めて読んだので
他の書物との比較はできないのですが
大変おもしろく最後まで読ませてもらいました。
正直、プロローグの展開は「壮大すぎる」と思ったのですが…。
幼少時代から起業(独立)までを綴った1〜2章は
本田氏のやんちゃで、探求心旺盛な人柄を感じさせるエピソードが織り込まれていて、スムーズに読み進めていくことができました。
胸に抱いた大志を叶えんと、まっすぐに突き進んでいく若き日の本田氏の姿はまるで桃太郎のように勇ましく、人間的にも好感がもてます。
3〜4章は、藤澤氏という強力な参謀を得て、
危機を乗り越えながら急成長していくホンダを描いています。
その中から、一個人としての本田氏の顔と
会社のトップとしての本田氏という2つの顔が見えてきます。
現場でともに悩みながら、現場を動かしてきた本田氏ですが、
5章は、技術者として生きる道を社員に託し、
完全に会社のトップとしての役割に徹することにした経緯が書かれています。
そこから第一線を退くまでのエピソードには、
時代とともに疾走し続けた本田氏の意地、プライド、そして一抹の寂しさが感じられ、その後を描いた6章へと続いていきます。
ストーリー自体は変に情感にひたることなく、
思いきり良く進んでいきます(だから本当に読みやすかった)。
しかし途中には、ドラマのワンシーンを実際に見ているかのような
印象的なエピソードがいくつもありました。
これは書き手の方の技量によるところが大きいのではないでしょうか。
「一生懸命生きる」ということは、どういうことか。
そんなことを教えてくれる良書です。