ノンフィクションもの的な教養書だが、あとがきにもあるように、
文学的要素が高い。
1910~1920年代に活躍した詐欺師の手法などが
実にスリリングに説明されている一方で、
それぞれおの詐欺師がカモを騙すために、
いかに社会的に魅力のある人物になりきるのか、
また、それはどんな風に魅力的なのかを見事に描き出している。
詐欺師とカモという、欲と欲のぶつかりあいの仕組みの
全体像をつかもうと筆を進めれば進めるほど、
人間という生き物が持つ欲や弱さやズルさが滲み出てくる。
面白い、面白いと言いながらページをめくるうちに
最後のページにたどりつき、本を閉じた後にふと考えた。
本書に出てきた詐欺師達にばったり出会ったとしたら、
私は騙されずにいられるだろうか、と。
幸いにも私は詐欺師にばったり会うような生活を送っていないので
まだ答えは得られていないのだが、
一読して、欲に対する自分の弱さのことを考えずにはいられなかった。
文学作品としても、ノンフィクションとしても一級品である。
素晴らしい。