本書はそんな著者の現場経験のなかから、英訳に戸惑いがちな日本語表現をピックアップし、項目別に分類して訳と解説を施したもの。同じ語が文脈によってまったく違った英語になる様子や、「遠慮する」「こだわる」といった、いざ英訳するとなると意外に難解な日常語をたどるうちに、彼我の発想法の違いが自然に理解できるというしくみだ。
通訳は、その場その場の待ったなしの仕事である。国際舞台での同時通訳はその最も典型的な一例といっていい。本書に集められた70の見出し語と400近い用例は、そんな状況をかいくぐってきた著者ならではの高い実用性に富み、簡潔な解説はポイントを逃さずにどれもとてもわかりやすい。
それにしても、「その場の現場性」が本質である通訳という激務のさなかで、著者はこの用例のもとになるノートを、いつ、どうやって作ったのだろうか。巻末の索引をくくりながらそんなことに思いを馳せると、本書がまるで役者や演出家が作る「創作ノート」のように見えてくるのである。
通訳現場がもつ苛酷な即興性と、そこに賭ける地道な準備。その対照には、コミュニケーションという作業がもつ困難とおもしろさが、同時に反映されているように感じられた。(今野哲男)
登録情報
|
|
あなたの意見や感想を教えてください:
|
||||||||||||||||||||||
|
最も参考になったカスタマーレビュー
21 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
翻訳や通訳の勉強に最適,
By カスタマー
レビュー対象商品: 訳せそうで訳せない日本語―きちんと伝わる英語表現 (単行本)
この本は、日常的に使うのに英語にしにくい日本語の英語訳を、例文と共に掲載したものです。「一喜一憂」、「風通しのよい」など、よく耳にしますが、これをイザ英語に訳そうとすると咄嗟に適訳が思いつきません。和英辞書を引いてもネイティブが絶対使わないような、日本語を英語に置き換えただけの不自然な訳しか載っていないため、現場では使えません。しかし、この本には、訳しにくい表現のスマートな訳が例文と共に載っており、とても勉強になります。通訳や翻訳を勉強または仕事にしている人が、1ランク上を目指すのに最適な本です。
11 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
英語を使う時に手元に必ず置いておきたい良書,
By 烟霞 (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 訳せそうで訳せない日本語 きちんと伝わる英語表現 (ソフトバンク新書) (新書)
私は日本人なので、英語を使う(書く、話す、和文を英訳する等)にも、どうしても日本語の感覚で考えているところがある。そうした時に、この日本語をどのような英語(単語、熟語)で表現したらよいのか、迷うことが多い。たとえば、「まとめる」、「本格的な」、「しかたがない」、「がんばる」・・・。特定の文脈でこれらにピタッとはまる英語というのはなかなかすぐには思いつかないものである。
そうした時に本書が役に立つ。本書は、50年間通訳業を続けてきた著者が、長年の経験の中で、こうした英語に訳すのに苦労した日本語(75語)の例を集めてまとめたものである。これらの日本語ひとつひとつについて、それに相当するいくつかの異なった英語の単語・熟語がすべてそれぞれの実際の用例付きで載っている。たとえば、「まとめる」であれば、to agree on, to compile, to complete, to draft, to finalize, to organize, to prepare, to put together, to work outが載っているが、これはまとめる対象によって使うべき動詞が異なってくるのである。どの場合に何を使うべきかについても書かれている。 仕事で英語を使うことがあるので、こうした本が前から欲しいと思っていた。もちろん和英辞典を使う手もあるが、かならずしもピタッとくる用例が載っているとは限らないし、どのような場合にどの語を使えばよいかも十分に書いていない。そうした意味で本書はすぐれものである。ここに載っている日本語だけで足りるというわけではないかもしれないが、英語を使う時には手元に置いておきたい本である(もちろん本書の内容をすべて覚えられればそれが最善だが・・・)。本編で取り上げた75語以外にコラム的に載っている「ワンポイント通訳」もおすすめである。
12 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
英語の表現力UPに必読,
By フォークルファン (千葉県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 訳せそうで訳せない日本語 きちんと伝わる英語表現 (ソフトバンク新書) (新書)
この本は以前ジャパンタイムズから出ていたものの増補改訂版ですが,価格が約半分になり一層読みやすくなりました。内容はやはり通訳歴40年以上の小松さんならではのもので,用例も著名人の発言や「女性の品格」といった最近の本に登場した日本語など新しいものも積極的に取り上げられています。一例として,今回「開き直る」の項目に新たに追加された用例を1つあげておきます。「小泉総理の言い訳は,開き直りだと思う」(2006年8月の小泉元首相靖国神社参拝問題についての小沢一郎のコメントです)小松さんの訳例は
Prime Minister Koizumi's excuse shows his stubbornness.です!この本にはこういう用例が豊富に載っていてとにかく読んでいてためになる本です。会社で外国人との通訳をさせられることの多いビジネスマンにもお勧めです。
あなたの意見や感想を教えてください: 自分のレビューを作成する
|
最近のカスタマーレビュー |
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|
|