たくさんのレビューが寄せられています。なるほどという意見が多くみられます。
製作・監督・主演のすべてを勤めたイーストウッドが、本当に描きたかったのは、暴力の連鎖でしょうか。悪と正義でしょうか。
私は、西部劇という舞台を借りて、人間そのものの心理について、訴えたかったのではないかと思うのです。
愛妻を亡くしたマ-ニーは、二人の子とともに、慎ましくも平和な生活を送っていました。
ラストまでご覧になれば分かりますが、彼は凄惨な殺しを、初めからしてやろうと、町へ出向いたのか。
むしろ、期せずして降り注いだ宿命に追いやられ、殺人を犯さなければならなかった。
私は、このように理解しました。
マーニーは、かつて極悪非道のガンマンでした。悪の権化のような保安官により、殺人鬼としての本性が蘇ったのか。
ではなくて、人の心理の奥底にある潜在的なもの。それは、課せられた運命の元においては、人は容易に殺人行為を犯すことができる。
これがテーマだと思われてなりません。
一旦、話は映画からそれます。
イラク戦争の従軍兵士から、帰還して、PTSD ( 心的外傷後ストレス障害 ) を発症した者が多くでました。さらに自殺者も数多く。
一体なぜでしょう。元通りの平温な暮らしに戻ったというのに、戦火から脱して生き延びたというのに。彼らを苦しめたのは何だったのか。
自分こそは家族や国家、平和を愛する人間だと、自負していたのにもかかわらず、イラクの戦場では銃で、ためらいもなく人を殺した。
そして帰還兵として祖国に戻るやいなや、自ら犯した罪の意識から逃れられなかった。それが、彼らを苦しめたのです。
マーニーは、誰もが何処かで眠っている心理であり、許されざる者は、自己でもあり他者でもある。これが、私なりの解釈です。