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許されざる者 下
 
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許されざる者 下 [単行本]

辻原 登
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商品の説明

内容紹介

槇は日露戦争の従軍医となり、森宮では熊野改革5人団による線路爆破事件が勃発する。
槇と永野少佐夫人の禁断の恋の行方は?感動の完結編。

内容(「BOOK」データベースより)

日比谷騒擾事件に揺れる日本。森宮では「熊野革命五人団」が暴走する―。運命にあらがう“生”。人びとをのみ込む、新しい時代。辻原文学の集大成。豊饒な物語世界、ついに完結。

登録情報

  • 単行本: 416ページ
  • 出版社: 毎日新聞社 (2009/6/19)
  • ISBN-10: 4620107360
  • ISBN-13: 978-4620107363
  • 発売日: 2009/6/19
  • 商品の寸法: 18.6 x 13.8 x 2.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
 いわゆる戦争の功罪を、この作品から垣間見た。
 戦争が起きたおかげで実現した出合い。
 学校に通えない子供たちのための、寺を場とした青空学校。
 これらは、戦争のプラスの側面だろう。

 戦争が起きたおかげで人々の心は、もう二度ともとには戻れなくなる。
 点灯屋、ねじ巻き屋、左官、車夫、……自分はその道のプロフェッショナルだ、という自分の職業に対する誇りを持ち、そして、困った人に対する同情・憐憫の情を抱き、困った人を助けたい、という美しい心、美徳をそなえた人々。彼らを戦争が直接的に、また、間接的に変えてしまう。
 作中、「戦争を扇動するのは悪徳の人で、実際に戦うのは美徳の人だ」という言葉が引用されているが、あらゆる悪を扇動するのは悪徳の人で、実際に行動するのは美徳の人、なのかもしれない。可愛そうだ、力になってあげたい、役に立ちたい、そういう、美しい心をそなえているがゆえに、知らずしらずのうちに、人々は悪の道に足を踏み入れてしまう。背負う必要のなかったはずの罪、抱く必要のなかった秘密を代償にして。

 繰り返し場を変え、形を変えて登場するテント。人間のように体の中に骨があるのではなく、体の外に骨がある、という構造。いざというときには、飛べる。カナブンのように。
 飛べる、となると、軽そうだ。軽さ、かるみ、というのは、この小説が有している特徴かもしれない。
 上林が、「小雪」という騾馬に乗り、安否が絶望視される馬渕を探しに行く、シリアスなシーン。このシリアスな局面での滑稽、郷愁をまじえた描写は、重さ、深刻さからするりと身をかわす、かるさ、かるみが漂う。

――人形の動作は、はじめはぎごちなくみえていても、太夫の語りと三味線の音色が作り出すリズムによって、生命が吹き込まれ、型にのっとって動いているにもかかわらず、ある種の自在感を獲得しはじめる。

 「人形」を〈登場人物〉、「太夫の語り」を〈語り手の語り〉、「三味線の音色」を〈登場人物の発話〉に置き換えると、これは、あるいは作者によるこの小説の評言ともなりうるかもしれない。

 上巻冒頭で登場した「二重の虹」、「ふたつの虹」のイメージは、たとえば、こんなふうに繰り返される。

(前略)森宮の時間が、以前の速さで流れはじめたかのようにみえた。しかし、じつはもうひとつの新しい時間軸がその下に、あるいは傍に加わって、絶えず旧来の時間を衝き上げ、合流し、渦をつくり、呑み込もうとしていた。

 そもそも虹は、「古くは竜の一種と考え、雄(内側の色の濃い主虹)を虹、雌(外側の色の濃い副虹)をゲイ(※)と呼んだ」(『福武漢和辞典』より)という。「呑み込」む、というと、竜のような生き物も連想しなくもない。

 「高速で移動する物体の中では、時間がゆっくり進む」。時間がゆっくり進めば、移動する物体は、速く進む? 低速で移動する物体の中では、時間が速く進む? 小説が一つの乗り物だとしたら? 小説が高速で移動すれば、読者に流れる時間はゆっくり進む? 小説が低速で移動すれば、読者に流れる時間は速く進む? ……わからない。

 上巻で千春が見た不思議な夢は、下巻において結末を見る。どのような結末か? それは、読んでのお楽しみ。

 辻原氏は、「ジャスミン」の中で、死者は数えられない、と書いた。ひとりの人間の死は、数字に置き換えられない。ひとはひとりひとり違う存在だから。「許されざる者」、というタイトルにも、そういうニュアンスが含まれている気がする。

 結局、「語り手」としての「私」とは、いったい、誰だったのか、謎のまま終わった。あるいは、彼は、天狗の面をかぶった謎の男だったのだろうか?
※「ゲイ」は、「虫」へんに右側が「兒」。文字化けしたため、カタカナとした。
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By mary
形式:単行本
どんどん引き込まれます。ジェントルマンの槙ドクトルと大阪から遠く離れた田舎町森宮の住民が皆生き生き描かれています。レビューで大逆事件で処刑された人物がモデルとあったので、「えっ、処刑されてしまうの?」とヒヤヒヤしながら読みました。最後はちょっとうまく行き過ぎかも。。。
熊野が個人的に好きなので、神と自然が一体となっている町や山、海の描写はいいなあと気に入りました。
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