『周恩来・キッシンジャー機密会談録』があまりにも面白かったものですから、日中の方も読もうと思って取り寄せました。面白さという点ではリーガ・エスパニョーラとJ2ぐらいの差はありましたが、より、身近な存在が主人公となっている記録でしたので、それなりには読めましたかね。
驚いたのは、中共が日本に対する賠償放棄の意向を示すところ。これは密使となった竹入義勝公明党委員長に対して、いきなり周恩来から伝えたんですね。
もし賠償を求めるとなると、反共的な福田派など自民党内部から日中国交回復に対する反対意見が出て、せっかくの米中国交回復を含めた流れが滞ってしまうということから、あえて持ち出したんだと解説もされていますが、やっぱり思い切った決断だったと思います。
さらに、「賠償を求めれば、日本人民に負担がかります。そのことは、中国人民が身をもって知っています」という理屈付けも上手い。竹入義勝は「お礼の言葉ももありません」と平伏するばかり(p.14)。しかし、こうした好意を日本側が十分に感じていないとわかると、田中角栄首相との会談では、烈火のごとく怒るんですな。《我々は田中首相が訪中し、国交正常化問題を解決すると言ったので、日中両国人民のために、賠償放棄を考えた。しかし、蒋介石が放棄したから、もういいのだという考え方には受け入れられない。これは我々に対する侮辱である》(p.57)。いやー、まいりました。