アメリカ人の研究者による、日本のメディアの「情報カルテル」とも言うべき記者クラブの分析書である。日本では類書がなく(マスコミ研究者は大勢いるのに)、しかも原著の出版から11年遅れての翻訳書出版というところが、既に日本のメディア環境を暗示している。
記者クラブの誕生は1980年(明治23年)の国会内「共同新聞記者倶楽部」に遡る。それ以来、戦前・戦後を通じて増殖を続け、現在では中央官庁、地方官庁、日本銀行、経団連、大手企業(東京電力を含む)など、なんと約1000(正確な数は誰も知らない)にも及ぶという。本書によれば、日本のメディア報道の約90%が記者クラブを通じた情報源によるとのことである。権力側は記者クラブを通じて情報統制を行い、一方メディア側は、官製情報に頼った安易かつ画一的で、批判精神のない報道を垂れ流す。このような権力とメディアの「共犯」が日本を滅ぼすといっても過言ではない。
記者クラブの弊害は、福島原発事故で、「直ちには影響がない」「20mSvまでは問題ない」を繰り返す政府に対して、何ら建設的批判を加えない現在のメディア報道で、毎日われわれが目撃しているところである。自由報道協会など、ごく小さな風穴が開けられてはいるが、本書により記者クラブの実態を知ることで、メディア報道に踊らされない「メディアリテラシー」を身に付けたいものである。