哲学、論理学等非専門の一読者の感想です。
II巻での主題は「必然性」の概念であり、舞台となった年代は20世紀中ごろまででした。
このIII巻では、それ以降に登場した可能世界論という新たな考えのもと、必然性および関連する概念についての哲学的考察が述べられています。
まえがきにおいて、「・・・質的にも読者への要求が増しているような気がして心配である。」と書かれていますが、実際読んでみれば下にも述べさせていただいた通り、
これは「論理学の予備知識があったほうが良いよ」と言っているのだ、と私は感じました。また本文全体に対する読解の難易度は、II巻に比べれば易しいと思います。
本書の具体的内容としては、はじめに、きちんとした意味論が与えられる前の様相論理について語られ、次にクワインによる様相論理の批判、そしてクリプキによる可能世界意味論が紹介されます。
可能世界意味論で語られる様相量化論理について、飯田氏はこの部分が最も難しいのではと述べています。しかし、様相論理を全く知らなくとも述語論理に慣れている人ならば、理解の労力は比較的軽いでしょう。
逆に、論理学自体を全く知らない人にとっては苦しい、いやむしろやむなく理解があやふやなまま、先へ進むことになってしまうかもしれません。
(ロジックの基礎知識のあるほうがベターなのは、I巻、II巻についても言えると強く感じますが)
可能世界意味論の次に、それでは可能世界これ自体は一体いかなるものなのか、が議論され、その後では可能世界の概念(特に事象様相、英語でmodality de re)が指示の理論と大変密接な関係にあるという、
まえがきでの主張の謎が解かれることになります。
個人的には、可能世界とは何かを述べた6章(6.3, 6.4節)が最も頭を使った個所でしたが、読了後の見返りは大きいものでした。
最終章も面白かったのですが、ここについては若干理解に怪しい部分が残ってしまいました。