言語学への扉としては悪くないと思うが、各言語をしっかりとまとめきれていなく、情報が散乱しているといった感もある。また、最近はありがちだが、アラビア語圏(トルコ語の箇所にもあったが)の文化紹介の中に、唐突に「一部のイスラム教徒による暴力的活動が、国際的に重大な問題を引き起こしているのは事実である P154」などといった記載が見受けられたりする。間違った記載とは言うつもりはないが、「だから将来の相互理解のためにアラビア語を学ぼう」といった結び方もないため、こういった内容を唐突に書くことの意図が不明確だ。他にもこういった前後の文脈とマッチしない意図不明の文化紹介が散在しているのが、本の質を下げている。
いろいろな言語や文化をまとめて「言語学概説」を書く人間にありがちな得意不得意の様相が、この本では文化紹介の記述にはっきりと表われている。
新書だから単語や内容がとても簡単だというわけではない。この本を読める人ならば、この本を選ばずに、大学の教科書的な本を選んだ方がいいかもしれない。この本のよい点は、サイズが小さいことと安いことだ。