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言葉使い師 (ハヤカワ文庫 JA 173)
 
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言葉使い師 (ハヤカワ文庫 JA 173) [文庫]

神林 長平
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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登録情報

  • 文庫: 256ページ
  • 出版社: 早川書房 (1983/6/29)
  • ISBN-10: 4150301735
  • ISBN-13: 978-4150301736
  • 発売日: 1983/6/29
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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 いきなり舞台は火星で、主人公は描けなくなった画家。心理治療士の勧めで、スフィンクス=マシンに会いにゆく。 --語り口のテンポがよく、冒頭からのめり込んでしまった。

(余談:神林作品全般の特徴だが、この仮想生物の生態などが、一定の科学的法則にきっちり従うものとして、その科学側面がきっちり説明される。感情表現の言葉ではなくて、物理や科学理論の言葉で法則が説明される。この感触をして私はSFを感じる。)

 この短編集のなかでは、「甘やかな月の錆」が内容も文章も一番好きだ。 多少ネタバレになるが…

 文章としては、前半の小学生としての自我を描く文体が醸し出す「甘い日々の追憶」に心を動かされる。この主人公は母を好きになり、大人になれない自分を悔やむ。しかし、自分自身はそのことを理解しておらず、どうして変な感じがするのか思い悩む。

 通常であれば、「大人になれない自分」は、幼少の焦りにすぎない。しかしこのお話では、ここをSFにした。--彼(を含む全員)は、実際に年を取っていない、という設定で物語りは続く。具体的にどうなのかは、本文を読んで欲しい。

 しっかりとした現実法則がありながら、それでいてちょっとだけ現実と違う。その違いは、本の中では科学的に説明しつくされている。--これこそがSFの面白さだと思う。

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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 猫楽みみみ VINE™ メンバー
作家が生来持つ“質”は、短編のほうが濃く現れます。
この「言葉使い師」も、初期の作品集ながら
神林氏の世界が色濃く出ていると感じます。

人類女性が宇宙へ進出した時の驚くべき進化、「愛娘」。
他者を愛おしいと思う事がどこまで超越するのか、「甘やかな月の錆」。
<言葉>が持つ力をSF的視点での解析を試みた表題作「言葉使い師」など。
六つの短編は六者六様に多彩なSF的アプローチをとりながら、
驚くほど深く哲学的にヒトという存在を描いています。
そのくせ文体は意外に読みやすく、すんなり入ってくるあたりは感服モノです…。

この方の世界観…あるいは人生観は、収録作「イルカの森」の主人公の最後の科白、
『さぁ行こう。人生は夢なら、いい夢を見なくては損というものだ』
に集約されているような気がしてなりません。
ヒトはどれほど超越した世界に立っていようとも、
その意思次第で見るもの触れるものは、文字通り『幾らでも』変わっていくのではないか。
是非は別でも、ヒトは必ず『望む方向』へ歩いていけるのではないか、と…。

個人的に漫画も小説も短編集が好きなほうですが、
その中でも特に、折を見て幾度も読み返したくなる深淵な一冊。
“考える事”を止めたくない人は、ぜひご一読を。
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By 志村真幸 トップ1000レビュアー VINE™ メンバー
 1981-83年に『SFマガジン』に発表された短篇6作をまとめたもの。神林の初期短編集の一冊。
 陰鬱で出口のない話が多く、気分の落ち込んでいる時などに読むと、実に暗い気分になれる。しかしSFとしての魅力には凄まじいものがある。人類の心に潜む闇が、ふとしたSF的設定で露わになる。人類の未来は絶望的である。
 しかし、こうした陰鬱さは、やはり初期作品ならではであろう。キャリアを積むに連れて、SF作家は陰鬱さに糖衣をまとわせる術に熟達していく。一見、読みやすくなっていくのである。私もそちらの方が好きだ。とはいえ、どちらを好むか、それは読者次第なのだろう。
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