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(余談:神林作品全般の特徴だが、この仮想生物の生態などが、一定の科学的法則にきっちり従うものとして、その科学側面がきっちり説明される。感情表現の言葉ではなくて、物理や科学理論の言葉で法則が説明される。この感触をして私はSFを感じる。)
この短編集のなかでは、「甘やかな月の錆」が内容も文章も一番好きだ。 多少ネタバレになるが…
文章としては、前半の小学生としての自我を描く文体が醸し出す「甘い日々の追憶」に心を動かされる。この主人公は母を好きになり、大人になれない自分を悔やむ。しかし、自分自身はそのことを理解しておらず、どうして変な感じがするのか思い悩む。
通常であれば、「大人になれない自分」は、幼少の焦りにすぎない。しかしこのお話では、ここをSFにした。--彼(を含む全員)は、実際に年を取っていない、という設定で物語りは続く。具体的にどうなのかは、本文を読んで欲しい。
しっかりとした現実法則がありながら、それでいてちょっとだけ現実と違う。その違いは、本の中では科学的に説明しつくされている。--これこそがSFの面白さだと思う。
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