本書は、著者が1996年から2008年にかけて勤務先である北海道大学の全学
教育において担当した「認知言語学」の入門的講義の内容が中心にまとめ
られたものである。
本書は、まえがきでも述べられているように、読者対象を一般の読者にして
なるべく身近な話題を扱い難解な用語に使用は最小限に抑えていること、
そして、世界の言語についての基礎知識をまとめ言語に関する興味深い現象を
多く盛り込んだことが、他の「認知言語学入門」関連の類書とは異なる。
具体的な内容としては、言語記号についえ、意味とは何か、認知能力と言語
現象、カテゴリー、メタファー、メトニミーとシネクドキー、品詞、語順、
談話、言語にまつわる「まゆつばもの」の諸説(例えば、文法のない言語が
あるとか、日本語は特殊な言語である、英語は論理的な言語である等々)等
についてふれられている。
やはり一般的な言語学入門書というより、認知言語学が得意とする領域を中心
に概観した言語学入門書という色合いが強い。
また本書の文調は、論理的で非常に明確であるため、読んでいて読みやすく
分かりやすいのが有難い。
(認知)言語学の入門として一般の読者の方や学生には有用であり、「(認知)
言語学入門」といった類の講義を担当されている先生方には、本書の(講義録
を中心にまとめたという)性質から、講義準備の参考にも有効となる本である。