“快著”というべきか、“怪著”というべきか、とにかく、近来稀にみる(笑)破天荒な本です。著者は「過去50年、欧米人と議論や口論をして負けたことがない」と豪語する女性。私は勝手に「言論界のヒクソン・グレーシー」(笑)と呼んでいますが、「過去50年、負けたことがない」ということでおわかりのように、かなりのご高齢の方です。年齢は今年で81歳! その彼女が本書で、日本人よ、覚醒せよと言わんばかりに、自分の体験を踏まえて日本人を鼓舞? 叱咤? しながら、議論術を展開していきます。
これまでは寡聞にして、この著者のことを知らず、この本で初めて知ったので、こんな日本人女性がいることに大いに驚きました。
前半は彼女の生い立ちを振り返っています。著者は終戦直後に渡米、留学するわけですが、そこでまず欧米文化のキツイ洗礼を浴び、数々の辛酸をなめることになります。しかし、転んでもタダでは起きない(笑)のが彼女の真骨頂で、議論で負け続けることに我慢できなくなった彼女は、アリストテレスの『弁論術』をはじめ、次々と議論について書かれた本を読破、やがて堂々とアメリカ人と渡り合えるようになるのです。そこに至るまでのエピソードが非常に面白い上に、欧米人相手に次々と論戦で勝利をおさめる逸話は痛快この上ないのです。
また、後半の議論術のレクチャーでも、自分の体験に基づく豊富な実例を交えて、「実践的方法」を伝授します。後半でも、たとえば国内の電車でシルバーシートに座っている米兵を注意し、立たせたりしたエピソードなど、日本人離れした、とんでもないスーパーウーマンぶりを見せつけるのです(笑)。こんな日本人がいっぱいいたら、外国に舐められたりしないのになと、心からそう思いました。
この本は何より政治家や官僚に読んでほしいものです。
とにかくこれを読むと、心のモヤモヤが晴れ、心の活力が漲ってくる。「心のユンケル(笑)」みたいな本です。