西郷隆盛が、座右の書としたといわれる本書は、修養書としてはすばらしいできであると思います。幕末の儒学の第一人者であった、佐藤一斎が42歳から80歳にいたるまでに綴った、章句が我々の心に啓蒙の光を与えてくれます。
私は、論語と共にその章句を味わいながら読みました。
ただし、難点がひとつ。それは、訳者がいちいち顔を出して、その感想を述べたりするのです。これは本当に気分を害します。感想を述べたいのなら、「言志四録と私」などと表して別の書物にまとめるべきです。感想は、筆者が述べるものではなく、読者が感じるべきもの。門外漢を称し謙虚なまえがきをしている割には、うっとうしいなあって思います。
しかし、そこはあまり気にせず、数多い章句の中から、自分の座右の銘とすべき言葉に出会い、修養の糧とされれば、「言志四録」の本旨に違うこともないかと思われます。