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言壺 (中公文庫)
 
 

言壺 (中公文庫) [文庫]

神林 長平
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

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第16回(1995年) 日本SF大賞受賞

内容(「BOOK」データベースより)

万能著述支援用マシン“ワーカム”に『言語空間が揺らぐような』文章の支援を拒否された小説家・解良翔。友人の古屋は解良の文章の危険性を指摘する。その文章は,通常の言語空間で理解しようとすると,世界が崩壊していく異次元を内包しているのだ。ニューロネットワークが全世界を繋ぐ今,崩壊は拡大されていく…第16回日本SF大賞受賞作品。

登録情報

  • 文庫: 299ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (2000/02)
  • ISBN-10: 4122035945
  • ISBN-13: 978-4122035942
  • 発売日: 2000/02
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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形式:文庫
 「言葉にたいして過敏なほど鋭敏な作家」と称される著者の神林長平氏はは、デビュー作から一貫して“言葉”をテーマにして執筆してる。『言壺』は、そんな神林長平氏が作家という自分を通した言葉の思いを改めて見つめなおした短編連作作品だ。

 インターネットユーザーならば、パソコンやワープロといった機械の助けを借りて文章を打っているはず。機械に打ち込んだ文章が上手く自分の言葉にならないのは、機械とあなたの言葉の世界が違うからかもしれない。

 言壺ではワーカムと呼ばれている万能ワードプロセッサーが登場する。ワーカムには文章作成支援機能を持ったAIが搭載されており、何を書きたいのかしつこいほど訊いてくる。意味の通らない文章もAIが自動的に直してくれる。

 物語はワーカムを使い「私を生んだのは姉だった」という一文を入力したい小説家解良翔の話から始まる。どう入れようともワーカムがそれを拒否する。 「意味が通りません、意味が間違っています、実はこう書きたいのですか・・・?」

 そして何とか「私を生んだのは姉だった」という文をワーカムで固定表示させることに成功する。そのために世界中のワーカムを結ぶニューロネットワークの通常言語空間が崩壊、言葉に支えられていた現実世界が変容していく。  まさに小説でなければ表現できないカタルシス。一度、読んでみて日本SciFi界の元気良さを実感して欲しい。第16回日本SF大賞受賞作。

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By yukkiebeer #1殿堂 トップ50レビュアー
形式:文庫
 私は十九でジョージ・オーウェルの「1984年」を読んだとき、国家が言葉を恣意的に統御していくという発想に戦慄を覚えたことを強く記憶しています。英語のfreeという単語から「自由な」という意味を剥ぎ取って、「~がない」という意味だけの存在へとねじ伏せるかのように転換し、全体国家の目的に言語を奉仕させるという展開が大変生々しく感じられたものです。

 本書「言壷」も言語と人間との闘いをめぐる近未来小説連作集と呼べるものです。誰しも意思の疎通という日常の目的のために言語を自在に操っているという意識をもっているでしょう。しかし、この短編小説集を読むとそれが錯覚や誤解の類いでしかないという思いに駆られます。

 巻頭を飾る短編「綺文」では、人間の自由な発想と豊かな想像の発露として現れる創作的言語活動を、ワーカムという人工知能が非論理的なものとして激しく拒絶するところから始まります。論理を志向する機械知と、想像の翼を大きく伸ばそうとする人智との間で、大きな世界の裂け目が現出するという、著者の雄大で独創的な発想が楽しめる一編です。

 その他にもこの短編集で著者は、言語がいともたやすく人間を大きく欺くことのできる様子を提示してみせたり(「戯文」)、言語表現活動が草花のように育ったり枯れたりする物理現象として立ち現れる世界を描いてみせたり(「栽培文」)、聴覚や視覚ではなく嗅覚で認知する言語活動を発想してみせたり(「似負文」)します。

 その奇怪な想像の世界に心地よく惑乱させられることができる短編集です。

 この短編集が単行本として世に出たのは1994年とのことです。当時はまだインターネットの世界に手を触れる人は多くはなかったでしょうが、これだけのサイバー世界を既に描いてみせていた著者の眼力には脱帽しました。

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6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
言葉について 2004/12/10
By
形式:文庫
プロでもアマチュアでも趣味でも、とにかく何か文章を創作したことがある人が読むととても面白いと思います。もしかしたら書き方が変わるかもしれない。

小説の書き方のガイドブックのようでもあり、言葉についての論文のようでもあり、それでいて物語として面白い。
筆者恒例のエピグラムを巻末に持ってきていることがなんとも言えない。

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