金庫破りになるまでの経緯と、金庫破りになったあとの姿を服役中の主人公が交互に振り返るという形で話が進んでいきます。
小説として特筆すべきは、金庫破りのシーンにみなぎる緊張感。全身の感覚を駆使して金庫を開ける主人公の緊張感は、生半可な小説のアクションシーンを遥かにしのぎます。また、言葉を発しない主人公が描いた絵に託してヒロインと思いを通わせあうシーンなど芳醇なイメージを残す印象的なシーンも多くあります。
幼少時に遭遇した悲惨に事件(これもなかなか類似作に無い悲惨さ)に遭遇した主人公が、犯罪者として生きた後、救いを得るに違いないと読者に強く願わせずにいられないラストシーンも爽やかな読後感を残します。
広い範囲の読者層に受ける傑作だと思います。