憲法の講義は聞いた。芦部『憲法』も読んだ。判例も一通り知っている。
そんな「中級者」のための1冊。
本書は、法学セミナーの連載に、連載後の判例・学説などを加筆して単行本化されたものです。
本書の性格としては、三段階審査(保護範囲→制限→正当化という三段階の審査)に基本的に
乗りながら、芦部先生など従来の学説の議論も参照していく、というスタンス。
同じように、ドイツ流の三段階審査を参照していく本に、小山先生の『「憲法上の権利」の作法』
がありますので、三段階審査に興味がある人は、こちらもオススメ。
(日本の判例を三段階審査で読みなおしてみることを基軸に据えた一冊です)
本書の構成は、'
1.設問、'2.学生2人の答案構成、'3.設問の全体的な解説、'4.設問の検討(あてはめ)
憲法上の権利が18講、統治が8講、総合演習などを含めて全30講で構成されています。
何といっても、特筆すべきは'2.と4.の部分です!
極端に抽象化した違憲審査論(たとえば、積極目的なら明白性の審査とか)で答案にカタをつけるA君と
その単純化した図式に悩みつつ、うまく書けないB君とを全体的な解説の前に置いています。
2人の答案構成は、(戯画化しているせいもあって)最初は、そんな答案書くわけないだろ…と思いつつ
読んでいたのですが、よくよく考えていたらB君と同じ悩みを持っていたり、自分の理解の浅い分野では
A君のような答案を書いていたのでは、と思うようになり憲法に対して危機意識がもてるようになりました。
本書は、答案を書く上でのあてはめに近いことも載っており、単なる解釈論が並んだ演習書とは違い、
自学自習しながら、本書を使えると思います。
1問目に公共の福祉をもってくるなど、学生のつまづきやすい所、理解の浅い所を徹底的に
解説してくれる本書は、まさに一通り憲法の学習を済ませた「中級者」が実際に答案をつくる上での
参考になる、一押しの一冊だと思います。