コッポラ監督の「地獄の黙示録」はベトナム戦争を題材に、前半部の派手な戦闘シーンに加え、思索的な描写が多くなる後半部の難解さで有名な大作映画であるが、この作品を立花隆が論じたもの。博学多識で有名な著者だが、一映画について1冊も用いて論じているのも、また本作の選択についても正直、意外だった。
しかしながら、冒頭に書かれた「なぜ「地獄の黙示録」なのか」という説明は納得。
いわく「この映画は、単なるエンタティメント映画ではない。文学的な批評の対象となる映画である。優れた文学作品を研究するのと同じような研究の対象となりうる映画である・・・」
内容は2002年に公開された「特別編集版」を中心に、オリジナル公開(1979年)時の評論を収録。
映画の原作となった小説、採用されなかったラストシーン、引用される詩、テーマ曲であるドアーズの楽曲、カーツ大佐の机に無造作に置かれている書物、「特別編集版」での追加シーンなどなど、多彩なテクスチャを検証しながら、本作に込めた監督の意図やテーマを読み取ろうとしている。著者自身も書いているように「深読み」という部分もなきにしもあらず だろうが、深読みするだけの懐の深さを持っている作品であることもまた事実。「地獄の黙示録」が好きな人なら十分楽しめる。