農業に従事して50年である。自由貿易に関するニュースには、ただただ酒の席で農家仲間たちと共に知ったかぶりで反対するばかりであった。先日、役場に務める知人に「これは、本当に分かりやすいぞ」と手渡されたのがこの本である。テレビや新聞を通してもなかなか分かりにくかった、FTA・EPAについて本当に分かりやすく書かれてある。本書を農家仲間たちにもすぐに紹介したのは言うまでもない。今朝、JAの集荷場でそのひとりに偶然顔を合わせると、彼は荷台の縄解きもそっちのけで「よか本を、おおきに!」と本書を掲げてみせた。それがレビューを書こうと思ったきっかけである。一日中畑にいる彼は、本書を軽トラックの助手席に置いておいて10時と3時のお茶の時間にこつこつと読み進めているらしい。
自由貿易協定というのは、我々農家とも深く関係している。しかし私を含め仲間たちがそうであったように、ただ漠然と反対していることが多いのではないだろうか。
酒を飲みながら、FTA・EPAについて知らずに反対するのは簡単だが、自分に深く関係していることが他人事のように響くのでどこか空しい。テレビや新聞では頻繁に出てくる言葉だが、簡単な説明ではなかなか分かりにくい。そんなときに本書にめぐり合えた私は幸運である。
日本がとっているEPA戦略とはなにか、そしてその戦略をもとに実際どのように海外からの農産品を巡る交渉が行われているのかを知ることは、自分が誇りを持って育ててる農産品をより深く知ることに繋がる。そしてなにより、もっと工夫してもっといい農産品を作ろうという活力が生まれる。農家の方々は草取りの合間に是非本書を手にとっていただきたい。まず知るために。私は仲間達と共に自信を持って本書を薦める。