「講義民事訴訟法」に続く藤田教授の民事訴訟法演習テキストです。ロースクール生対象の教材。
この「解析民事訴訟法」では藤田先生らしい以下の工夫が施してあります。。
(1)32の基本テーマを選定し、お約束のパートに分ける〜この分け方が「講義・民事訴訟法」にリンクするものになっています。司法試験の口述問題などで過去の受験生が躓いたであろうテーマに絞られているのが実に心憎いです。
「民事訴訟の審理構造」では申し立て、裁判上の自白、証明責任と立証活動など、「民事訴訟手続の基本プロセス」では管轄と移送、当事者適格、債権者代位訴訟、訴えの利益、釈明権、争点整理と事実認定、自己の領域外からの証拠収集、既判力の弾力性、相殺の抗弁、一部請求など、「展開的な訴訟手続」では複数請求訴訟、共同訴訟、補助参加と訴訟告知、独立当事者訴訟から個別訴訟への還元、「上訴ほか」では控訴・訴訟と非訟などを取り上げています。
(2)以上の32の基本テーマに対して各章の冒頭でVIEWPOINTという図解を設け、イメージを想起できるように工夫されています。また基本概念の説明は繰り返しになっても、あえて説明されています。基礎的な事項ほど丁寧に繰り返しなさいという藤田先生の哲学でしょう。
(3)各章の「問題研究」として昭和24年から平成20年度までの旧司法試験民事訴訟法の論文式の問題を素材として提示(巻末に一覧があります)。「講義・民事訴訟法」で得られた基礎的な理解を応用できるか、読者に問うています。長文の民事法の論文の出題に悩む新司法試験世代には、なぜ今、旧司法試験の論文の過去問なのか、若干の異論が出ることも予想しながら、先生はそういう時だからこそ、あえて基礎をがっちり固めるにはこれが最高の教材である旨、強調されています。一行問題に関しては「講義・民事訴訟法」の基礎知識で解決がつくので、その該当頁を提示するのみですが、当時の受験生を悩ませた事例問題について、丁寧な解説が施されています。前提とされる判例もほぼ網羅されています。
藤田先生のこの本で資格試験の民事訴訟法は決着がつくと思います。学者先生の大部な体系書には受験上そぎおとさなければならない部分が多々あるのですが、この本は藤田先生の実務を射程に入れた見事な執刀でその必要はありません。私の学生時代に藤田先生が今回、書かれたような本があれば、民事訴訟の理解はもっと早かったと思います。つくづく今の学生諸兄がうらやましいです。信頼して余りある一冊です。