名著としてかなり有名ではありますが、微積分(解析学)の良書が数多く存在する現在において、本書を「数学徒の必読書や!」と真っ先に勧めるのは賢明ではないでしょう。
一先ず『深い浅いは問わず、ある程度"使える"レベルにまで持っていきたい』と思っている方にはお勧め出来ない。
(物理学科の方には尚更です。)
初め読んだ際には、時代を感じさせる語り口にどこかカッコ良さを感じますが(勿論苦手に感じる方もいます)、目的意識がどこにあるのかも中々掴めず、理解に苦しむ事は少なくなかったです。
ですので、内容にもあまり触れず、"名著と言われているし、実際に名著だった!!"という様な、やたらと絶賛しているレビューも散見されますが、どこまで読んだのか少々疑問ではあります。
(勿論、僕の理解力の低さにも原因があると思います。)
本書の威力を最も感じる事が出来るのは、複素関数も含め、本書で扱われている内容を俯瞰出来る様になってからではないかと。
"感動が一年遅れてやって来る"と言ったところでしょうか。
多くのレビュアーの方がそうだったのではと思います。
現代の視点から見て重要な話題が、さらりと扱われていたりして、俯瞰出来る様になってからしか味わえない感動は多いと思います。
Legendre多項式(球関数)の問題意識がきちんと明記されている事になんだか感動したのを覚えていて、特に第5章:『解析関数、とくに初等関数』と第6章:『Fourier式展開』はコンパクトでありながら、かなりよく書けています。
(第5章は本当に良かった!第6章はHilbert空間論の問題意識が簡潔に掴めるところがよかった。)
多少批判はしましたが、本書が素晴らしい教科書であるという評価は僕も同じで、一読の価値があることは言うまでもない事です。