登録情報
|
一方で、ベーチェット病をテーマにした「解夏」は美しくまとまりすぎている。というのも私はこの難病で父を亡くしている。父の人生が崩壊していく過程を目の当たりにした自分にとって、この「解夏」は素直に移入できない心象が多すぎた。
「精霊流し」がヒットしたわけで誤解を持っている方も多いのではないか?
本作は「作家さだまさし」の2冊目になる短編集である。上記のような
経緯から穿ってみる向きからは「2匹目のどじょうか」といわれそうだが
実はさだまさしはデビュー直後から会報誌やエッセイ集、新聞、雑誌などに
多数の作品を載せているし、彼の「歌」自体もメッセージ性や物語性の強い
「小説風!」のものが多く実績は充分である。
本作はテレビの話題性やコラム集などの企画性を離れて小説として
真っ向勝負した点では「意欲作」と受け止めるべき作品だ。
そして内容は彼独特の人をみる目の細やかさと温かさが随所に見られ
台詞や情景の一つ一つがぬくもりにみちた作品に仕上がっている。
ストーリー自体はむしろ単純なのだが、こういう「表現」で勝負した小説は
最近少なくなっている中で「嫌い」な人にもぜひ読んでほしい作品である。
できれば「さだまさし」ではなくペンネームで従来の誤解を捨てて
勝負してほしかったが、(商業的な意味合いもあるだろうが)あえて
「さだまさし」ブランドのまま「どうだ。これが俺の持ち味なんだ」と
勝負したところは彼らしいというべきだろう
初めてさだまさしさんの本を読んだのですが、
これ程あたたかい文章を書く人を私は今まで出会ったことがありません。
どの話も身近にいそうな人物で設定されており、
感情移入しやすかったです。
特に「サクラサク」が私は好きで、老いる父親と家庭をかえりみない主人公、フリーターの息子の関係がだんだんと変化して行く過程が印象的でした。
父親の痴呆がきっかけで主人公の家族に対する接し方が変わっていく様子や、息子の祖父に対する思いやりがわかるシーンなんかは胸打たれます。
その他のお話(もちろん解夏も良かったです)もとても温かみがあり、全ての作品で私は涙してしまったのですが、とにかくこんな温かい文章を書けるのは著者のさだまさしさん本人があったかい人だからなんだろうなぁと思いました。
次回作も楽しみです。
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|
|
|