書店で手に取る。帯にクイズが書いてある。第4問はどういう意図なんだ。あやしい。参考文献を見る。著者の本について「広く勧めよう」とか書いてある。ますますあやしい。パラパラめくってみると、なにかのしっぽの骨を持ってにこにこしている中年男(第4問のヒト)の写真が目にとまる。あやしすぎる。が、あまりのあやしさに、720円+消費税を支払ってしまう。
単なる動物好きとして、この本に書店でぶちあたった時の反応としてはこんなものではあるまいか。(著者の思うつぼにはまるのがとことんイヤな人は別かもしれないが)。
でもこれ、読み出してみるととまらない面白さ。遺体というブツによる動かぬ証拠を示されることで、今までなんとなく分かったつもりでいて分かっていなかった「系統」と「適応」という言葉が指し示しているところのものが、自分なりにクリアになる。目の前の曇った窓を、ぬっと出てきた手で突然キュッと拭かれて、たのしい景色が見えた驚きと爽快感。
読み進むうちに、進化に「偽造」なしなどという言葉が唐突に頭に浮かぶ。進化は、検査なんかなくたって、それぞれの動物が、生きていくのに必要な構造設計をちゃんとやってくれている。なんだかすごく安心だ。
解剖学(医学・獣医学・動物学に共通して)が今現在直面している問題の顕示が、一般人にも楽しめる専門知識の提供と表裏一体でこの本のテーマ。
学問の、世間一般への目に見えない貢献を軽んじる日本の色々な仕組みを呪いたくなると同時に、「遺体科学」を心から応援したくなる一冊です。