2012年3月に復刊予定の月刊COMICリュウに連載されていた18世紀の英国を舞台にした伝奇医学ロマンです。
正邪双方の顔を持つ近代人、ハンターを狂言回しに猟奇・スプラッター的な怪奇趣味の装いの下に産業革命により変化せざる得ない時代のウネリを描いて居ます。
黒釜ナオ氏の荒木飛呂彦氏「ジョジョ」シリーズ第1部の絵をもっと劇画的にして解剖学的デッサンを重視した濃厚な絵は一目見たら忘れられません。
その絵に吉川良太郎氏の本作の素材となった実在の偉・奇人ハンターをモデルにした目を見張る実話エピソードへ更に当時の時代背景と奇怪な事件を絡ませたメタな原作が加わると、時には重すぎる程の衒いが有ります。
込められた情報量が莫大で、漫画として少々こなれていない為、読み辛く感じる時すら有りますが、単行本でまとめて数回読むと実に面白いです。
この巻にはハンターの修業時代を描いた「Dr.ドリトル誕生」と、ハンターの愛弟子ジェンナー(!)の一本立ちと猟奇殺人事件を絡めた「ナイフを継ぐ者」の2篇が収められて居ます。
これから、と言う時に雑誌が休刊し、WEB連載を数回した後に終了となってしまいました。
エピソード的にはキリが良い所で終わって居ますが黒釜氏の絵師、そして漫画家としての成長と、吉川氏の凝った脚本も、もっと読みたかったので非常に残念です。
物語の背景になった事柄の補足コラム「BAROQUE EPISODE」3篇と、吉川、黒釜両氏のあとがき付きです。
万人向けでは有りませんが、初期のブラック・ジャックを黒く重くした様な作品がお好きな方、リアルな人体描写に拒否反応が無い方には大いにお薦めです。