哲学的エッセイ、というか、著者の近況報告+哲学的文章が混淆しながら、ところどころで人生についての鋭い洞察や既存の哲学説に対する批判が提示されている、という体裁の本。厭世的であること、哲学的であること、自分に出来る限り嘘をつかないこと、などなどの美意識(価値観)を徹底させて書かれる文章は非常に素晴らしい。この著者の独自的な文藝だなあ、と思う。
全体の内容構成は、身辺雑記が2割、哲学的思索が7割、そして世界≒私の人生の無意味さに関する指摘が1割、といったところだろうか。どれもおもしろいが、やはり著者の「観念的生活」を根底で支えているのは、三つ目の要素であるのは間違いなかろう。
「人生にはまったく何の意味もないのだ。ただそれだけのことである」。それだけのことなのか?と疑問に思わないではないが、「それだけのこと」と迷いなく断言するのもありだなあ、と痛感させてくれるのはいい。無意味って軽快だから。人間は究極的には何も背負う必要がない、ってことだから。