本書は、地域おこしの手段としても注目される「観光」を学問として整理した、いわば観光学の入門書。
第2次大戦後の西側諸国における大量生産・大量消費社会の出現に伴うマス・ツーリズムの発生とその行き詰まり、カウンターパートとしてのオルタナティブ・ツーリズムの隆盛までをうまく整理した良書である。
似たような入門書には内容の古いものも多く、こうした近年の動向までをきちんと初歩から説明している点に非常に好感が持てる。
地域の観光を考える上で陥りがちな問題点についてもうまく整理されているので、学問として観光を学びたい向きだけでなく、観光を実践している人々にもお勧めできると思われる。
特に注目したいのは、近年のオルタナティブ・ツーリズムの中でも日本各地で盛り上がりつつあるグリーン・ツーリズムに関する記述。
「グリーン」という言葉の語感からエコ・ツーリズムと混同されることも多いグリーン・ツーリズムについて、その成り立ちから施設等に求められる要件、景観との関わり等、充分とはいえないが必要最小限度のページが割かれており、まちおこしの手段としてのグリーン・ツーリズムに関心を持った読者が「『グリーン・ツーリズム』の『ツーリズム』って何だろう」と更なる関心を持った際にも、本書がその助けとなろう。
本書を読んで更なる関心を持った際も、関連文献リストが付いているのもありがたい。
とりあえず観光のことについて知りたい方には、一読をお勧めしたい。