香港には高層ビルが立ち並ぶ。
窓から水平に突き出した物干し竿には洗濯物がたなびく。
僕は庶民も、こんな高層マンションに住んでいるのがどうも不思議でならなかった。
日本なら高層マンションは富裕層が住む場所である。
思い立って、チャーターしたタクシーの運転手に住んでいる
高層マンションの部屋を見せてくれないかと頼んでみた。
運転手は「お茶でもあげよう」と快諾してくれた。
18階の部屋について、ドアを開ける運転手。
中を見て僕は衝撃を受けた。
鉄の扉の向こうは、6つに仕切られ、
運転手の家族のほかにも5家族がひしめき合って住んでいたのである。
高層マンションは、縦に延びている長屋だったのである。
本書はまさしく観光では訪れない香港の現状を示して生々しい。