ケータイが当たり前のように生活の一部になっていて、ただ過ぎゆく毎日を当たり前のように享受していて、物や金が溢れすぎ、夢とか目標とか、そんなものが曖昧になっている世界。そんな世界に生きる現代の10代に、受け入れられやすい作品だと思う。実際、人気が高い。ここ最近読んだ中で、一番面白かった、という声も聞く。恋愛小説ない?と聞かれこれを薦めれば、男も女もけっこうはまってくれる。
ドラマティックなストーリー。世相を反映した格差恋愛。若者同士の熱く純粋なセックス。
各所に配置される電子メール。これがあることでただでさえすらっと読める文が余計に手早く理解できてしまう。そんなふうに、魅力的な点はたくさんある。
けれど、なんとなく、物足りなく、薄っぺらい。
エンターテイメントとして、おもしろいけれど、後には何も残さないし、ましてや涙は流れない。
言葉が容易でも、すぐれた恋愛小説はあるものだと思うけど、内容として、なんとなく展開が都合よく、ありがちで、ストンと終わってしまう。
勢いよく最後まで読めた小説ではあるし、本当に読みやすいエンターテイメントだけれど、
もう少し深いメッセージがほしいと思った。