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覘き小平次 (角川文庫)
 
 

覘き小平次 (角川文庫) [文庫]

京極 夏彦
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (18件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

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 『嗤う伊右衛門』で、斬新なお岩像を創出した京極夏彦が、ふたたび名作怪談を現代に蘇らせた意欲作。オリジナルは、1803年(享和3年)に出版された山東京伝の読本『復讐奇談安積沼』(ふくしゅうきだんあさかのぬま)である。1853年(嘉永6年)には、歌舞伎狂言作家、河竹黙阿弥による『怪談小幡小平次』として舞台化もされたこの物語は、幽霊しか演じることのできない役者が、自分を殺した男と、裏切った妻を祟り殺すという怪奇談である。

   一日中、押入れ棚に引きこもり、わずかの隙間から世間を覗く、売れない役者、小平次。妻のお塚は、一向にその不気味な性癖がおさまらぬ亭主に悪態をつく毎日である。そんなふたりのもとへ、小平次の友人で囃子方の安達多九郎が訪ねてくる。禰宜町の玉川座が、次回の狂言怪談の幽霊役に小平次を抜擢したという。一座の立女形、玉川歌仙の依頼を受け、奥州へと向かう小平次。しかしその興行の裏には、ある仕掛けが施されていた…。

   京極は、自身の著作『巷説百物語』に登場する又市や事触れの治平らを絡めながら、死霊が主役の怪談劇を、生者が主役の愛憎劇へと見事に変貌させている。小平次を嫌いながらも別れようとしないお塚、小平次を罠にはめる多九郎、小平次に父の屍を重ねる歌仙。本書は、死人のような小平次にいら立ち、自らの嫉妬、猜疑、憤怒を目の当たりにして人生を狂わせていく生者たちの物語である。彼らが小平次の屋敷で繰り広げる凄惨なラストシーンからは、血生臭い匂いとともに、やるせない哀しみが押し寄せてくる。(中島正敏) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

商品の説明

第16回(2003年) 山本周五郎賞受賞

登録情報

  • 文庫: 414ページ
  • 出版社: 角川グループパブリッシング (2008/6/25)
  • ISBN-10: 4043620063
  • ISBN-13: 978-4043620067
  • 発売日: 2008/6/25
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (18件のカスタマーレビュー)
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5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
それぞれの登場人物がそれぞれに個性的で、かつ知らない間にしがらみを持って生きているのだが、それぞれに懊悩して生きており、
これが、常人でこれが非常人だという観念を奪われてしまう内容。

そもそも正常と異常の境目なんて、誰が決めるものでもないし、今の自分の生き方でいいんだなと、辛いけどいいんだなと納得させられる内容で、人生に迷ってる人、己に迷っている人には是非読んでいただきたい本である。

このレビューは参考になりましたか?
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
小平次という男は極端に存在感の無い男として描かれており、たしかに幽霊のようにも思える。夜道に立つ小平次や、舞台に立った姿は幽霊そのものである。

しかし、小平次に対するお塚の感情は嫌悪であり、多九郎は苛立ちのようなものを覚えている。幽霊に対して嫌悪するのは分からなくもないが、苛立つのは少々おかしい。そもそも同居しているお塚が心底怖がっていないところが、幽霊としては間抜けである。

私は小平次は幽霊ではなく、感情を喚起させ、時に独り語りさせる妖怪ではないかと思っている。

お塚はお塚に嫌悪し、多九郎は多九郎に苛立っているのではないか。

治平は小平次に対して、厚みこそが大事だ、自分を騙せと云う。これは治平自身がポリシーを確認しているに過ぎないように思える。

小平次に殺意を持つ人間は、統べからず自分の境遇を嘆き、今の自分を変えたいと願っている人間なのではないだろうか。

私たちは小平次にこそなれないが、小平次の幽霊という妖怪は私たちの中に棲んでいる。

知らず知らずのうちに、人の恨みを買ったり、羨望を受けたり、また逆に他人に自分を投影してみて卑屈になったり。

おそらく覗き小平次は、いつでも私たちを見ているに違いないのだ。
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By 紫陽花 VINE™ メンバー
形式:新書|Amazonが確認した購入
山東京伝の怪談話を主なベースとして、小股潜りの又吉、事触れの治平といった「巷説百物語」シリーズのレギュラーの企てた仕掛けの中で、人間の深層心理の闇を抉った怪談風心理小説。

小平次は稀有の幽霊役者である。それは彼が何もせず、唯そこに居るだけの空虚な存在だからである。小平次は何も語らず、何も騙らないので自分の世界を作れない。切ない存在である。彼の妻、お塚は自分で人生の道を踏み外した事を自覚しているため死を望んでいる。そのお塚を慈しみながら、押入れの隙間から覘く事しか出来ない小平次。その小平次を意識しながらも、殊更辛くあたって小平次を苦しめようとするお塚。切ない関係である。

この他、悪党が複数登場し、それらが不思議な因縁で結び付いている様は江戸時代の因果応報の思想が反映されているようである。彼等は、自分等が悪事を犯している事を自覚しているため、「ただそこに居る」小平次に底知れぬ恐怖を抱くのである。妖異譚に頼らず、人が人から受ける恐怖を描く作者の手腕を買いたい。

江戸時代の怪談をベースにしながら、現代にも通じる人間の深層心理を抉った傑作。
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取引の評価
商品が届きました。
ありがとうございました。
とても、きれいな商品でした。... 続きを読む
投稿日: 21日前 投稿者: チェリー
奇怪な人間関係
前作の『嗤う伊右衛門』に続き、満たされない人間の不思議な人間関係を描いた作品になっていますが、今作は個々人の考えが理解しにくかったです。... 続きを読む
投稿日: 5か月前 投稿者: SS41
最後の2ページが怖い
京極シリーズはほぼ読んでいますが、読み落としていた本書をようやく手に取りました。
「嗤う伊右衛門」に続く、非常に哀しいお話でした。... 続きを読む
投稿日: 17か月前 投稿者: ikuzi
京極ワールド
主人公の気の弱さと生き方に自分の心の深遠を覗いたようで、悪酔いしそうになりました。京極氏代表作の「巷説百物語」と比べて筆致は近いが、何とも陰鬱な影を放ちます。続きを読む
投稿日: 2009/11/15 投稿者: K-Iwa
怪談の名を借りた純文学的作品
京極、怪談改変シリーズ第2弾です。この小幡小平次の原作を知りませんので、京極夏彦のオリジナル作品として読めました。幽霊のように存在感のうすい役者が、幽霊役であたり... 続きを読む
投稿日: 2009/4/29 投稿者: kirin70
ドタバタ劇と見物人の主人公
ご存じ、御行の又市と事触れの治平が登場する物語。時代は傑作「巷説百物語」より早く、治平が又市を知った直後、であるらしい。又市は実際には、会話上の人物としてのみの出... 続きを読む
投稿日: 2007/2/14 投稿者: kewpie
哀切
地味な印象を勝手に抱いていたので、なかなか手が延びませんでしたが、読み始めたらさすが京極先生。ぐいぐいと静謐な昏さを湛えた物語に引き込まれていきました。続きを読む
投稿日: 2006/12/6 投稿者: じゃこ
生きるということは、綺麗ごとでは済まされない
生きているのか死んでいるのかわからない。

幽霊役をやらせれば右に出るものがいないが、... 続きを読む
投稿日: 2006/9/26 投稿者: 永遠のかけら
暗い!怖い!
御行又市らも関わるのですが特筆すべきは主人公?小平次の不気味さ。読んでいるこっちも生きてるはずないと思うのに…。
投稿日: 2005/8/15 投稿者: らてぃあ
ぞくり・・・
~幽霊役者小平治、生きた人間なのか、はたまた本当に幽霊なのか?
小平治は押し入れの中から、ただ世界を見つめている。... 続きを読む
投稿日: 2005/3/11 投稿者: kay-0311
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