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見続ける涯に火が・・・ 批評集成1965-1977
 
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見続ける涯に火が・・・ 批評集成1965-1977 [単行本]

中平 卓馬
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 3,570 通常配送無料 詳細
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

1960年代後半から70年代にかけて、従来の映像美学を覆すラディ
カルな作品によって日本の現代写真に大きな転換をもたらした写真家、中平卓馬
は、同時にきわめて鋭敏な批評家として芸術と社会のあり方を根底から問いなお
し、激動する時代に応答しつづけていた。本書はいまなおアクチュアルな輝き
を失わないその思考の運動を現在の世界へと召喚し、年代順にその軌跡を辿るこ
とを通して、今日における写真表現の可能性を再考するアンソロジーである。中
平は77年に病に倒れて記憶の大半を失った後も、写真家としての活動を継続する
ことによって立ち直り、撮影行為を通した自己解体と再生を繰り返しながら写真
のもつ根源的な力を模索しつづけている。その特異な写真作品にアプローチする
手掛かりとして、また広く現代社会をとりまく問題について考察し、芸術表現の
ゆくえを問うためにも必読の一冊である。

登録情報

  • 単行本: 512ページ
  • 出版社: オシリス (2007/4/10)
  • ISBN-10: 4990123948
  • ISBN-13: 978-4990123949
  • 発売日: 2007/4/10
  • 商品の寸法: 19 x 13.2 x 4.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 123,241位 (本のベストセラーを見る)
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19 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
厚い書物 2007/5/19
By dada
形式:単行本
「思考が視覚を批判し、視覚が思考を試練にかける。」浅田彰が本書の帯で記したこの言葉が持つ凄まじいダイナミズムを本書は余すところなく示している。読者は、中平卓馬という一人の人物から発せられた言葉と作品が、「思考」と「視覚」という両極に引き裂かれながらも圧倒的な魅力を以って現前する場に立ち会うことになるだろう。一読すると、鋭く深く綴られた中平の言葉は、多様なスタイルを取りながらも明確な一本の筋を持っているように思われる。しかし、その筋は、見返しに差し挟まれた近作によって途端に打ち消されてしまう。のべつ言葉の筋は作品によって打ち消され、作品の筋は言葉によって打ち消される。それはこれまでの中平の姿とも一致するのだが、両者は互いに断絶したものではなく、それぞれが強力な芯を持った磁場として、斥力と引力を併せ持ちながら葛藤を続けている。その様な両極への揺れ動きが持つ振幅の豊かさにこそ、私たちが写真と関わり続ける契機が秘められているのだが、中平が生むそうした振幅に対して私たちは如何に応答することができるだろう。私たちは、あらゆることに周到に眼を配りながら思考をすることが可能になった「厚い世界」の中で、多種多様な主義主張を整理し選択を積み重ねることで思考を形成することに慣れきってしまっている。中平にそうした周到な選択は無いが、他の追随を許さぬ何かがあることを本書は強く訴えかけてくる。それこそが「見続ける涯の火」であるのだろう。「火」は「厚(熱)く」読者を待っており、多様な読みに向かって燃え続けている。読者一人一人は「火」に油を注ぐ存在であらねばならないし、この五百頁を越す厚い書物はそれを可能にする。その点において、ベンヤミン、バルト等と並ぶ写真のカノンとなるだろう。
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3 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 倒錯委員長 トップ500レビュアー
形式:単行本
77年に突如として記憶喪失に陥りながらも快復、今もなお撮り続けている写真家中平卓馬が、喪失前の65年から77年にかけて雑誌「アサヒカメラ」をはじめとする各種媒体に発表した批評などの文章をまとめた一冊。

写真家としての彼はこの間、アレ・ブレで評される身体性に密接した動的な写真から、『なぜ、植物図鑑か』以降の対象を静的にとらえる写真へと、大きなパラダイムシフトを遂げているがしかし、写真“批評家”としての彼の問題意識は、ずっと写真を見る側の我々が、生きている上で終始囚われているであろう観念、彼のいうところでのイメージに、いかに囚われずに物を、世界をまっすぐ見るか、ということだったのは興味深い。ついでに、近代的な芸術家観の呪縛から自由になりながらも、自由になったが故に返ってそのあり方の無規定性に苦悩する彼の姿も垣間見える。

彼の中にはおそらく、写真があくまで世界の断片しかすくい取れないという諦念と、にもかかわらず世界そのものを激写したいという欲望という力極端の感情が渦巻いている。「いま・ここ」の記録でしかない写真。その写しとる「現実」とはあくまで虚構でしかないのだ。そのことに自覚的な彼であったからこそ、写真を「利用する」権力の側の暗躍に、特にセンシティブに反応していたのだろう。

技法的な問題は余り取り上げられていない。写真初心者でも内容理解はおそらくできるであろう、注目すべき思索の痕跡。
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10 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 虹鱒
形式:単行本
そこそこです

一応批評集と銘打っていますが、内容としてはエッセイ集というのが妥当でしょう。写真論は門外漢なのですが内容は比較的軽く、さらさら読むことができました。しかし内容はあくまでも現代の実製作者としての中平の思想や問題意識や覚書とでもいうべきもので、理論的な批評というほどのものではありません。そもそも文中で出てくるのもバルト、ベンヤミン、フッサール、などなど、いわゆる「ひとむかしまえ」の知識人や学生が読んだものばかりであり、現代にそのまま通じるとは言い難いところがあります(本書の言葉を使えば「同時代的でない」とでもいうのでしょうか)。ましてやそれらの古い批評家の理論だけで何かを論じるのは、現代においてすでに不可能となっていることは言うまでもありません。しかし、実製作者でありながら批評理論を学んだ中平の着眼点はそれなりに面白い点もあり、それなりに楽しめました。

財布に余裕があれば一読くらいしても損はないでしょう。
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