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見知らぬ島への扉
 
 

見知らぬ島への扉 [単行本]

ジョゼ サラマーゴ , Jos´e Saramago , 黒木 三世
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 「ある男が王様のところへ出かけていき、扉をたたいて言った。『舟を1そうください』」

 「むかしむかし、あるところに…」の文字がなくとも、ジョゼ・サラマーゴの遊び心と知恵にあふれるこの物語(邦題『見知らぬ島への扉』)の最初の1文を見ただけですぐ、読者はちょっと変わったおとぎ話の世界に入り込んだことに気づく。もちろん、サラマーゴの作品は、形こそさまざまだが、どれもおとぎ話だといえる。奇抜で修正社会主義的な『History of the Siege of Lisbon』もそうだし、暗黒郷を描く陰鬱(いんうつ)な『Blindness』(邦題『白の闇』)も例外ではない。

   サラマーゴといえば、ドライなウィット、一見シンプルでありながら何重にも効果を発揮するプロット、特異な句読点の打ち方などが有名だが、初めはポルトガルで短編小説として出版されたこの作品も、そうした特徴すべてを持ち合わせている。この作品は、官僚主義のばかばかしさに対する風刺物語として始まる。人々は王様の「願いの扉」を訪れるが、王様自身は「好意の扉」の近くで待っているのだ。

王様はいつもいつも、「好意の扉」のそばに座っていた(おわかりだろうか、「好意」とは、人々が王様に表明する「好意」のことだ)ので、誰かが「願いの扉」をたたいても聞こえないふりをしてばかりで、それでも青銅のノッカーの音が絶え間なく続き、ただ単にやかましいだけでなく、明らかに悪い噂のもととなるほど周りの住人の平和をかき乱して(ノックに応じないなんて、なんてひどい王様なんだ、と人々が文句を言い出しそうになって)初めて、嘆願者が何を求めているのか聞いてくるようにと第一臣下に命じるのだが、それは、そうするよりほかに、嘆願者を鎮めるすべはなさそうだからだった。

   そんなあるとき、扉の前の男が、見知らぬ島を探しにいくための舟がほしいと言う。王様は、島という島はすべて発見済みだと言いきるが、男は断固として信じない。男が、見知らぬ島は「絶対にある」と言うのは、「見知らぬ島がただのひとつもないなんてあり得ない」という単純な理由からだった。この会話を立ち聞きしていた宮殿の掃除女は、王様がようやく男に舟を与えると、「決心の扉」から王宮を抜け出して、探検家をめざすこの男の後を追う。このあと、夢を追う2人が発見の航海に出る準備を整える段になって、サラマーゴは風刺物語を寓意物語に一転させる(そして、夢追い人たちは、木を見て森を見失いそうになる)。

 『The Tale of the Unknown Island』は、わずか50ページの中に、たいていの小説が5倍のページ数を使ってもかなわないほどたくさんの魅力と意味を詰め込んでいる。ノーベル賞受賞作家、サラマーゴをすでによく知っている読者は、以前に読んだ、この作家のもっと長い作品の魅力のすべてが、ここにも短縮された形ですべて含まれていることに気づくに違いない。サラマーゴの驚くべき想像力に触れる喜びが初体験の読者にとっては、魅力あふれる最初の1冊となることだろう。(Alix Wilber, Amazon.com) --このテキストは、 ペーパーバック 版に関連付けられています。

内容説明

"A man went to knock at the king's door and said, Give me a boat. The king's house had many other doors, but this was the door for favours (favours being offered to the king, you understand), whenever he heard someone knocking on the door for petitions, he would pretend not to hear..." Why the petitioner required a boat, where he was bound for, and who volunteered to crew for him and what cargo it was found to be carrying the reader will discover as this short narrative unfolds. And at the end it will be clear that what night appear to be a children's fable is in fact a wry, witty Philosophical Tale that would not have displeased Voltaire or Swift. --このテキストは、 ペーパーバック 版に関連付けられています。

登録情報

  • 単行本: 113ページ
  • 出版社: アーティストハウス (2001/07)
  • ISBN-10: 4901142623
  • ISBN-13: 978-4901142625
  • 発売日: 2001/07
  • 商品の寸法: 18 x 13 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 396,917位 (本のベストセラーを見る)
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8 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:ペーパーバック
扉からはじまるところではカフカの短編小説を、簡潔で活き活きとした語り口ではカンディッドを思い出させる小さな本です。テーマとしてはチルチルミチルの青い鳥に似てるかな。でも青い鳥の幸福が最初から存在していたのに比べ、この本の「島」はただ探しにゆくことでしか存在しえないものなのです。何だかナゾナゾのようですが、この本が提供する島探しの結論には、きっと誰もが満足できることでしょう。

最後の星一つは、男が王様から船をせしめた大胆な知恵を乗組員集めに活かしきれてないことへの不満と、なぜ後半を夢の話にしちゃったんだろう、という疑問から。著者はノーベル賞作家だそうですが、女性の描き方がとても魅力的なので、他の著作でもそうなのかな、とちょっと興味が湧きました。

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5 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
扉をあけて 2005/3/24
形式:単行本
 この本を読むのには、一時間とかかりません。しかし、余韻はもっと長く続くでしょう。
 この本を読んで、あなたが、感じるものは、もしかすると、政治や社会に関わるものかもしれないし、男女の機微かもしれません。
 しかし、この本には、答えはありません。あなた自身が心の扉をあけて、感じてください。
このレビューは参考になりましたか?
9 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
この本を読んで感動される方もおられるんでしょうね。しかし、私にはさっぱりピンと来ませんでした。「千と千尋の神隠し」を観てもピンとこなかった私と同じような感性の方は、たぶんこの本にはガッカリされるのではないかと思います。
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