読み始めたときには、いつもの浅田作品と違うような感じがしたのですが、読み終わる頃にはすっかり嵌っていました。誰にでも他人では推し量ることの出来ない人生への思いがあるのだなぁ、そんな読後感を持ちました。偽装結婚をした中国人を愛してしまった男の物語、場末の酒場でピアノを弾いている元名チェリストの秘密。取り壊される予定の公団住宅で自殺した老女、子供の頃に犯した混血児へのいじめを心にとどめたまま中年を迎えた幼馴染の夫婦。親友に愛する人を奪われたことを隠すために作り話を信じ込んで生きてきたデザイナー。普段顔を合わせている人にもこんなドラマがあるかもしれない、そんなことを考えてしまいました。深い味わいの作品ばかりでした。読書好きの方にお勧めです。