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見出された恋 -「金閣寺」への船出
 
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見出された恋 -「金閣寺」への船出 [単行本]

岩下尚史
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

若き日の三島由紀夫の恋を描く。

出版社からのコメント

昭和一代の文豪、三島由紀夫29歳、10歳年下の彼女との濃密な4年間の恋によって彼は大きく変貌し、三島文学の頂点である「金閣寺」をはじめとする充実期の作品群はこの女性の存在なしには成立しえなかった。
猪瀬直樹著「ペルソナ」ではマダムXという名前でも登場している女性が、はじめて長期間にわたるインタビューに応え、ふたりの恋の軌跡を知られざるエピソードを交えつつ詳細に語った実話を、今回はあえて小説として作品化。昭和30年代初頭の東京の、豪奢で、甘く、切ない、恋と別離の物語は、約10年後に迎えるであろう彼の最期までをも予感させている。

登録情報

  • 単行本: 199ページ
  • 出版社: 雄山閣 (2008/4/25)
  • ISBN-10: 4639020244
  • ISBN-13: 978-4639020240
  • 発売日: 2008/4/25
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.6 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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美文。 2012/3/10
形式:単行本
先日、著者の岩下尚史さんがTVで「恋愛なんて幻想ですから、誰と付き合ったって一緒」というようなことをおっしゃっていました。

そんな著者がしっとり美しい言葉遣いで描き出した、今からおよそ60年前の日本、当事戦後復興や朝鮮特需などの影響で大繁盛していた料亭の娘、豊田貞子さんと故三島由紀夫の4年近くに渡る恋愛模様、逢瀬の記憶です。

二人の心模様だけ描き出したのなら、平凡な恋愛小説でしかない本作を特別な恋愛小説に変化させている要素はまず、主人公の満佐子(豊田貞子)の生まれ育ちの環境が稀有に豪華なこと。

当時19、20歳の満佐子の生活を追った描写には、極庶民の私には仰天の連続です。

毎日銀座の美容院へ行き髪を結う(日髪)、足袋は履き捨て、着物は二日と同じ物を着ない、着物は絵柄や染の注文を毎日呉服屋へ指示、なんやかんやの和装小物を季節ごとに京都から取り寄せる、それらはすべて極上品、もちろん家事などしたことは無く、身の回りのことは女中がしてくれ、電話など直接受ける事もなく、財布にピン札が10万常備(当事の8万円が現在の100万円だそうです。)。

大きな財力にがっちりと守られながらも水商売の家庭だから放任されてのびのび自由に、その間に様々な大人の色々も目の当たりにする。

三島が外国へ誘っても、結婚を望んでも即答で却下、外の世界になんぞそう簡単に興味は持てない。

著者は彼女の事を「半玄人」と形容しています。
玄人はお金で言いなりになる。素人は相手を楽しませる技術も知識も経験も無くつまらない。
満佐子はあらゆることに酷く満たされていて、三島の思いどうりに決してならない。

小説執筆に戯曲制作と稽古、歌舞伎の台本書きや筋トレ(耽美派だから)と忙しくしながらも4年近くの間ほぼ毎日満佐子を呼び出し、デートを重ねていた三島の体力に驚かされるが、それに合わせて毎日豪華に着飾り出かけていった満佐子も凄い。

この作品の魅力は、二人の財力と体力のエネルギッシュなパワーを感じる事。
裏話で、三島由紀夫は彼女と付き合うために、週あたり現在の価値で100万円ほど借金をしていたそう。

きれいに身なりを整え、芝居やナイトクラブに高級な料理、移動はもちろん全て車。
潤沢にお金をかけて二人の時間を甘美なものにする様子に「これが恋愛をするということか」と学ぶ事が多い。

三島由紀夫について知る貴重な文献になるかどうかは、どうでしょうか。。。
三島の恋愛の仕方に特別なものなどなにもない、自己中で柔軟性の無い男というだけですから。よくある感じ。

しかし、三島が恋愛に対してのみならず、いろいろな物事に対して、満佐子に挑んだように盲目的に自力を遥かに超えた力で向かって行って、彼の思い描いたとおりにならなかった経験を、「敗北」や「失望感」「絶望」として積み重ねていってしまったら、あのような最後につながっていくのかな・・・・と感じたり。

最後、満佐子にフられて数年後、自身も別の人と結婚をしたのにまだ満佐子に未練たらたらな三島に"Take it easy"と言ってやりたい。

満佐子が三島とずっと一緒に居ようと思えなかった理由は、三島が満佐子に対して個人として向き合っていなかったからだと思う。

三島は満佐子を取り囲んで守っている大きな力(社会の権力や一流な物事とのつながりが醸しだす豊潤なオーラ)になにか夢を観ていたのだと思う。
だから本作は「恋愛なんて幻想」の骨頂のような話。

ともかく、私はとても楽しめました。「ヒタメン」の方も読むのが楽しみです。

花柳界に明くない方は、この本を読む前に「名妓の資格」を読んで、花柳界の段取りやものの呼び名などさらった方がより楽しめるかと思います。
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8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By yamak
形式:単行本
三島由紀夫がなぜこの恋人を選び、一途に恋したか。
昭和の息吹が感じられる優雅な恋の様子が、それにふさわしい文体で綴られていて、楽しく読みました。
三島由紀夫という名前が1回も出てこないので、三島由紀夫目当ての人には確かにもどかしく感じられるかもしれない。
私は事実関係をノンフィクションとして書いている『ヒタメン』のあとに読んだのでもどかしいところはなかったが、先にこっちを読んだほうがよかったかなと思った。
『ヒタメン』は論理的に解き明かすが、『見出された恋』はそうではなくて、逆に小説なだけにこの薄情けな恋人の魅力が直接に伝わってくる。三島が愛した貞子(満佐子)の魅力。先に読んだほうが先入観なしに没頭できたかな。。
まあ、三島由紀夫ファンにはどっちが先でも同じことかもしれない。
ただ、このふたつの作品については、三島由紀夫ファンより三島由紀夫にこれまであまり興味がなかった人が『見出された恋』に淫し、そのあと『ヒタメン』を謎解きに読むというのがいちばん楽しめそうだ。
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8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
「芸者論」で賞を得た岩下氏の新著は、どうやら三島由紀夫の秘められた恋をテーマにしたものと聞いたが、それがノンフィクションなのか小説なのか、本を実際に手にとるまではわからなかった。
いざ、読み進めれば、さながら泉鏡花のような名文で綴られる小説。
昭和30年ごろの花柳界、歌舞伎、文壇の秘話をまじえつつ進んでいく物語に淫する思いで、一冊を終えた。
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