レマルクの『西部戦線異状なし』を知ったのは、この映画を見たのがきっかけでした。1980年にNHKで「海外秀作ドラマシリーズ」の一つとして放送され、当時小学生だった私は衝撃を受けました。それまでSF冒険アニメや漫画の世界のイメージでしか捉えることしかできなかった「戦争」の素顔を目の当たりにしたような思いであったことを憶えています。
原作小説は主人公の手記風に書かれていますが、本作では主人公のポール青年を語り手にすることで、原作に近い深みを出しているように感じました。無責任に愛国主義を煽る教師(旧作ではヒステリックに「ぶちまくる」調子だったのですが、本作では物静かに「説き聞かせる」調子で、「祖国愛」を生徒達に吹き込んでいます。この場面一つを見ても、旧作以上にリアリズムが追求されていると感じました)、ヒロイックなロマンチシズムの幻想を剥ぎ取った戦争と軍隊の醜悪な姿、砲火弾雨、屍山血河の日々の中、生き延びたいと願う兵士たちを襲う非情な死の運命・・・・淡々とした調子で流れる主人公の語りには、内に込めた怒りが感じられました。原作と旧作へのオマージュが感じられる名編だと思います。おそらく本作は、『西部戦線異状なし』の最初で最後のリメイクになるでしょう。