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400ページを越える本書は、西部劇を引用しつつアメリカ合衆国の開拓史をたどる第一章から始まり、西部劇に出てくる英雄・悪党・先住民族を切り出して紐解くかと思えば、「西部劇ビデオ100選」と「西部劇スター名鑑」を編み上げるといった具合に、手を変え品を変えて西部劇の魅力を多角的に紹介していきます。各章の間で記述に若干の重複はありますが、それは特段気にはなりませんでした。
著者自身が「本書はあくまで西部劇の入門書」で「評論」ではないとあとがきで書いていますが、その点にむしろ好感が持てました。かりに西洋哲学を振りかざして大上段から映画「評論」を400ページも展開されていたら、おそらく読んでいてげんなりさせられていたことでしょう。衒学的にまとめた一冊ではなく、軽い読み物にまとめ上げたことが良かったと思います。
大部の書物にしたことを逆手にとってパラパラ漫画を載せたのは、著者の遊び心が伺えて楽しくなります。
シェリフとマーシャルの違いについて解説してくれている箇所や、南北戦争時の南軍のリー将軍が実は奴隷解放論者であり、思想的には北軍に近いものを持ちながら出身地である南部を敵にはまわせないとあえて南軍に身を投じた人物だった記述などは特に興味深く読みました。
私のように映画は好きだが、どちらかというと西部劇には疎い類いの人間には、この程度の入門事典風のつくりがレベル的にもあっていたということでしょう。楽しく読めました。
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