この西遊記、ズバリ「もったいない」です。色々な意味で「もっと、できたはず!」だからです。各話のゲストを含め、配役に異論はありません。アンサンブルを感じましたし、特に、深津絵里さんの三蔵法師役は、女優である夏目雅子さんをあえて持ってきた「堺・西遊記」に勝るとも劣らない「天の配剤」と言っても過言ではないでしょう。それほどの宝と奇跡を手にしながら、持ち腐れ感ばかりが漂っていました。せっかく、弟子役の俳優さんたちが心から「お師匠さん」と思えていらっしゃる様子なのに、番組コンセプト「なまか」が優先され、その「美しく、清々しい師弟関係」が全く生かされませんでした。また、筋斗雲の形状や土地の位置関係、仏教世界の枠組など、大多数の人が無意識に「ここは忠実に守るよね?」と思うであろう箇所が、ことごとく不可思議な設定に変更されており、「?」が積み重なりました。アレンジは「なるほど!」と多くの人を納得させてこそ許されるのであり、その象徴が、皮肉にも、あの当時の夏目雅子さんのキャスティングです。今回の西遊記は、高級食材が揃ったのに、おいしくないフカヒレ・スープができてしまったようなもったいなさで、シェフがお客さんの食べたいものよりも、自分の作りたいものを作ったときに起こるズレと似ているのではないでしょうか。今シリーズを夢中で見ていた子どもたちが大人になって見直した時、「やっぱり香取・西遊記が良い!」と思うのかどうか、興味があります。ちなみに、のめり込めない設定・脚本や、フィルム撮影でないなど、数々のハンデの中、深津さんという女優さんの底知れなさが、特に9、11話で発揮されたので、話数に合わせて星を2つしました。