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西田幾多郎歌集 (岩波文庫)
 
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西田幾多郎歌集 (岩波文庫) [文庫]

上田 薫
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

西田哲学は、人間西田幾多郎の実人生での苦悩とその超克の足跡とも言われる。たび重なる苦難の中、折々に詠まれた短歌は、哲学者の内面を如実に伝える。思索の深まりは、短歌の形でより端的に表現されることもあった。親族ら四人の回想記を併せて収録。哲学者の生涯をより深く理解するための貴重な証言である。

登録情報

  • 文庫: 245ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2009/11/13)
  • ISBN-10: 4003312481
  • ISBN-13: 978-4003312483
  • 発売日: 2009/11/13
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 0.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 佐藤弘弥 VINE™ メンバー
形式:文庫
学生の頃、哲学者西田幾多郎の「善の研究」という著書を読み、ちっとも頭に入らず、ただ字面を追っていた記憶がある。

でも最近、西田幾多郎(1870−1945)の歌集が岩波文庫(西田幾多郎歌集 岩波書店 2009年11月刊)から出ているのを知って、恐る恐る手に取ってみると、今まで難解の象徴だった西田幾多郎が、ふと身近に感じられた。同時に、過去に字面だけで解していた彼の思索の跡が、鮮明になり、「西田幾多郎=難解」というトラウマが氷解していくように思えたのは、実にふしぎであった。歌の力であろうか。

以下の西田の三つの歌が、私をそんな心境に導いたように思う。

第一の歌(1923年53歳)

 我心深き底あり喜びも憂(うれい)の波もとどかじと思う

深い歌である。西田は、1911年「善の研究」を出版し、1913年43歳にして京大教授となった。その後、1919年妻寿美が脳梗塞に倒れ病床につくと、翌年1920年には、長男謙が病気のために早世と不幸が続く。その中での歌。この第一の歌は、不幸の中にあっても、己の使命のようなものを自覚しているような歌に受け取れる。

第二の歌(1924年、54歳の時の歌)。

 世をはなれ人を忘れて我はただ己が心の奥底にすむ

実は、この歌は、西田と同郷(石川県金沢)の友で世界的な宗教学者鈴木大拙(1870−1966)も、初版の序の中でとっている歌である。大拙は、この歌を評し「彼は至誠と云うことをよく云った。これはただの倫理性をもったものではなくて、霊性的自覚からの言葉である。」と言った。至誠とは、「至誠天に通ず」という言葉があるが、天や神仏に誓うほどの誠実さをもってというほどの意味である。

哲学をするという、このような態度をいうのであろう。「己の心の奥底にすむ」の「すむ」とは、日常茶飯事として自身の天命である哲学の道に命を賭けて取り組むとの姿勢と解することができる。

58歳(1928)で京大教授を退官すると、何故か、鎌倉に移住をし、そこを終の棲家とする。西田は、京都から鎌倉に移る心境をこのように記している。

「私は20年近くを京都に過ごした。・・・しかし京都は古都というにはあまりにも都らしく、山川の美もまた優雅に過ぎる。特に私には実感を動かすものが多く、空想の羽ばたく余地を与えない。鎌倉には尚廃墟らしい所が多い。特に骨肉相疑い、同族相戮し、描額の地に人間の罪悪の歴史が集められて居る如き感がする・・・」(歌集所収 P85「鎌倉雑詠」より引用)

西田は、美しく洗練された京の都を去り、荒々しい武士たちが相争った古都鎌倉こそが、終の棲家に相応しいと感じたのだ。あるいは哲学の道をさらに究めるためには、人間の憎悪の歴史がそのまま空気となって残っているような鎌倉こそ、自身の想像力をかき立ると感じてのかもしれない。

そして詠んだ第三の歌(1928年58歳)。

 争ひし敵も味方も影もなし夕月かかる鎌倉の山

西田は、1945年6月13日、太平洋戦争の敗戦の報を待たず、75歳で永眠した。その遺骨は分骨され、鎌倉の東慶寺、妻の遺骨のある長楽寺、そして京都の妙心寺にある。特に、北鎌倉の東慶寺には、西田の生涯の友であった鈴木大拙の墓があり、ふたりは今も人の世の有り様を語らっているように並んでいる。巻末には、詳細な年譜もあり、この書は、西田の人生を知るには、最良の入門書と言えそうだ。
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By 空満
形式:文庫
 あの『善の研究』を著した西田幾多郎、日本を代表する哲学者が詠んだ短歌なら、何かユニークな歌ではないかと期待した。しかし、この期待は見事に外れた。歌としてはどちらかと言えば拙い詠みっぷりである。自然詠や叙景歌は類型的な域を出ないと思う。しかし、長男の突然の死、子どもたちの病、妻の病臥と死、50歳頃から幾多郎を次々に襲った肉親の不幸は、幾多郎をしてがぜん真摯に詠歌に向かわせたようだ。歌わずにはおられない切迫感が籠もっていて、まっすぐにその悲しみは伝わってくる。世間を超越した高踏的な哲学者の面影はなく、生身の苦悩にのたうつ裸の叫びが聞こえるようで、『善の研究』の哲学者をしても、人生はかくなるものかと思い、粛然となった。
 子ども3人による回想記と、孫による解説がついて興味深かった。子どもから見た幾多郎は非常に厳格であり、スキンシップのようなものも少なかったようだ。全てを学問に打ち込んで、世間離れしたしたところもあったようだが、家族はそれをよく理解して、父が学問に専念できる環境を作ることへの強力を惜しまなかった。回想記からは、子どもたちの父への愛情がそくそくと伝わる。それは、幾多郎の短歌と響き合っているようである。
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By エパメイノンダス トップ500レビュアー VINE™ メンバー
形式:文庫
西田幾多郎の詩歌に関しては
・短歌194首
・俳句89句
・漢詩12首
・訳詩12篇
あと随想6篇が収録されている。
後半は、西田幾多郎の息女による回想が収録。三女の西田静子氏、長女の上田弥生氏、次男の西田外彦氏による。他に、10代の頃から友人であった鈴木大拙による回想も収録されている。
そしてこの本の編者である上田薫氏は上田弥生氏の長男であり、西田幾多郎のお孫さんである。
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