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10 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
難しい,
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レビュー対象商品: 西田幾多郎哲学論集〈3〉自覚について 他四篇 (岩波文庫) (文庫)
本書は、西田幾多郎(1870-1945)最晩年の6年余りに書かれた16篇のうちから、「絶対矛盾的自己同一」「歴史形成作用としての芸術的創作」「自覚について」「デカルトについて」「場所的論理と宗教的世界観」の5篇を選んだ論文集である。私は西田の文章を初めて読んだが、定義も引用も事例も殆ど無いままに連続する対義語に面食らった。それでも論文には繰り返しが多いので、最初はとっつきにくくとも、先を読み進めていけば、前の論文で説明不足のところは、後の論文が大分補ってくれる。では、なぜまたそのような表現を選んだのかと言えば、それはこの老境の哲学者が、最晩年に差し掛かって「私の根本思想を明らかにした」がったためであろう。そこから逆に、この老境まで自らの世界への素朴な関わりを捨てずにいたこの著者の姿勢が理解される。 論理だけを追えば、それほど難しいことが言われている訳ではない。現在では主体と環境が相互作用する、と簡単に言われているが、その時間的なスパンを極小化していけば、環境が主体に表現されるのと同時的に、主体が環境を創出する状態が現出するはずである。これが未来と過去、多と一、事実と当為、超越と内在、作ると作られる等々の相矛盾した属性が、絶対否定を媒介として空間的に共在する場であり、それを「絶対矛盾の自己同一」と呼んでいる。この立場さえ確立されれば、西洋の対象論理の立場とは逆の場所的論理から、芸術も科学も宗教も同列に論じられると睨んでのことであった。 私は西田の歴史的意義については関心が薄いが、今現在から読んでも面白いと思ったのは、この論理が、オートポイエシスやアフォーダンスの現象学的記述として読み直せそうに思ったことである。とはいえ、この西田の論理世界を生き生きと実感的に感得できるか、と問われれば、そこには大いなる距離を感じたこともまた事実で、そこが本書の「難しい」所以であった。
4 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
「デカルト哲学」が核心の論集,
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レビュー対象商品: 西田幾多郎哲学論集〈3〉自覚について 他四篇 (岩波文庫) (文庫)
有名な「絶対矛盾的自己同一」は、あまり感心せず、また、文庫で出ている3冊に関して言うと、どれも「思考」は「善の研究」より下降していると思える。「絶対矛盾的自己同一」は、結局ヘーゲル的世界のvariationにしか思えず、また思弁力が足りない分、ベルクソンみたいな感じもして、とにかくぱっとしない。良くないところはベルクソン哲学の良くないところと似ていて、「みかけ」「みための世界」或いは広松渉風に言えば「現相的世界」に対して、なんとなく後追い的に、あれこれ語彙を駆使して縫製しているみたいな点だ。何から何までヘーゲルとは言わないが、今の時代の人なら誰でも思うようなことを上塗りしている感じで、さりとて肝心なところは「感覚的に」逃げているようで芳しくなかった。一方「デカルト哲学について」は、デカルト的懐疑に沿いながらその思考に異議申し立てをしていくところは、本物の哲学者の相貌が現れなかなかエキサイティングだった。「哲学の対象は自己自身を自証するもの、対象なき対象でなければならない」という言葉は、まさに我意を得たと思ったし、哲学が科学にも空想にも堕してはならないと語るくだりは、西田の哲学全般に対する姿勢が垣間見られ興味深かった。またデカルト批判からカント、ヘーゲルへの批判に進む中に、絶対矛盾的自己同一のモチーフを読み取ることもできるだろう。だが、それにしても、釈然としないものが残るのだが、それはデカルト的思考の検討の最中に感じられた密度が批判へ転じていくあたりで、表現が緩むというか水っぽくなって必当然性が定かでないままにカントやヘーゲルに進んでいくあたりに問題があるように思えた。にもかかわらず立ち止まって考えさせられ反芻させられ、またこの論文を開いてしまう。そういうことは普通はないわけでやはりユニーク極まりない作者のなせる技と思う。
5 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
21世紀の西田幾多郎,
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レビュー対象商品: 西田幾多郎哲学論集〈3〉自覚について 他四篇 (岩波文庫) (文庫)
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