最近ショーペンハウアー、ニーチェ、キルケゴール、プラトン、アリストテレス等ちょこちょこ哲学の本を読んでいるのですが、それらを読んでいる内に西洋哲学全体の流れとそれぞれの哲学者の位置を一応でも把握しないと本に読まれてしまう、という危険を強く感じたので、概説書として本書を読んでみました。
本書は講演を文章化したものなので、難解な哲学が丁寧な話し言葉で非常に噛み砕いて解説されており、とにかく読みやすいです。浅学にして著者の方を今回初めて知りましたが、数ヶ国語を操る恐るべき学識の持ち主であり原著にもよく当たられているのが読んでいて分かり信頼できましたし、ギリシャ語・ラテン語の哲学用語の起源や意味等の基礎部分を明快にまた丁寧に説明してくださる姿勢も、初学者には有難いです。
限られた時間内で話をまとめなくてはいけない都合上、本当に要点のみ語られる素人にとってはややマイナーな哲学者もいますが、初学者には簡単な説明で十分だと感じましたし、おそらく読者の関心の高いであろうプラトンやアリストテレス、カント等の哲学者には相応に紙幅が割かれています(カントに関してはそれでも端折ったらしいですが)。
他のレヴュアーさんも書かれていますが、本書は<中世は暗黒であったか>や<ヒューマニズムの時代>という風に時代時代の全体的な哲学の背景・雰囲気についても著者独自の見解を交えながら解説されています。中世の<大学>の起源については大学時代に習いましたが、御用学者としてではなく、どんな権威にも縛られずに「命を懸けてもいい、ただ真理に到達したい」という熱い探究心を持って集まった学者達がお金を出し合い経済的に自立した<大学>を作った、という歴史に感動しましたが、本書で改めてそのくだりを読みやはり感銘を受けました。
途中聞き慣れない哲学者の名前や難しい専門用語はやはり出てきますし、一度読んで完全に西洋哲学史の流れを把握するとはなかなかいきませんが、頑張って何回か読んでいけば基礎的な知識はかなり頭に入ると思います。
ただ、流れを重視した体系的な哲学史だからか、ショーペンハウアーは扱われません。また、アメリカの超越哲学者エマソンやソローは扱われず、実践哲学者ジョン・デューイは名前のみ記述があります。
本を読むのにある程度慣れている&気になる哲学者の本を数冊読んでいるという位のレベルで、読みやすい概説書を探しているという方には本当にお勧めの本です。