戦前は東京地方裁判所判事や外務省で上海領事などを歴任した著者は、縁あって「西武農業鉄道」を営む堤康次郎氏に迎え入れられた。その後、康次郎氏の不動産買収と事業拡大に対する執念に共鳴し、影のように寄り添い支えていく。元華族の邸宅などを次々に手中にするやり方を強欲と見る向きもあったが、今日の地上げ屋とは全く異なり、利益主義ではなく庶民に住居を持たせたいという理想があった。
記述の焦点はグループ発展の舞台裏から、康次郎氏の女性関係及びその子供たちに移る。3人の“夫人”の実相と息子である義明氏、清二氏の学生時代を回顧する。顧問弁護士としての立場から事業継承問題についても臆することなく論じているが、全体としては西武草創期への憧憬と復活を願う思いを訴えた書と言える。
(日経ビジネス 2005/01/31 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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