おそるべき君等の乳房夏来(きた)る――西東三鬼(さいとう・さんき)の句である。
「薄いブラウスに盛り上った豊かな乳房は、見まいと思っても見ないで居(い)られない。彼女等はそれを知ってゐ(い)て誇示する。彼女等は知らなくても万物の創造者が誇示せしめる」と、三鬼自身が昭和23年刊の『三鬼百句』で解説している。
『西東三鬼集』(西東三鬼著、朝日文庫。出版元品切れだが、amazonで入手可能)に収められている。
一方、日野草城(そうじょう)には、「牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹(ぼたん)の夜(よ)」、「いっぴきの女と眠る梅雨(つゆ)の夜(よる)」という句がある。
芭蕉や蕪村の句もいいが、こういう艶っぽい俳句もなかなか味わい深い。