日本を代表する作曲家であり、かつNHK-FMのクラシック番組で
パーソナリティも務めている西村氏と吉松氏が
作曲家とクラシック音楽業界について好き放題に語った本です。
モーツァルトをけなして、ボロディンを称えるなど
極めて「偏って」おり、ある向きには拒否反応を起こすかもしれません。
他方で、けなしていく中にその作曲家の真髄、核心や限界などが
浮かび上がってきて学べる点もあります。
全体的に西村、吉松両氏はモーツァルト、マーラーに対する
評価は極めて低いです(マーラーにいたっては半ば「病人」扱いです)。
一方で、ハイドン、ロッシーニ、黛敏郎たちに対しては
もっと世間で評価されていいはずだ、としています。
個人的に不満である点は、メンデルスゾーンは苦労していない、
彼の作品には影がない、という両氏の評価(112-115頁)です。
メンデルスゾーンは楽団員の待遇改善のため奔走するなど、
社会福祉活動に熱心に取り組んでいました。
また演奏会用の費用をめぐって市当局と何度も説得しました。
「ヴァイオリン協奏曲」の第一楽章にはそのときの苦悩が
現われていると個人的には感じます。
本書は音楽において好みの違う人々が読めば、
様々な反応が出てくる面白い本だと思います。
「偏って」いるがゆえの面白さというものがあります。
知人などと回し読みしてはいかがでしょうか。