抜群の漫画力を持つ作家さんです。
太く黒い初期作品から背景や髪の毛は細かいペンの綴れ織りの如きタッチで人物はスッキリと言う画風へと固まってこれぞ西村ツチカさん、という絵を作り上げていく様子が追えます。
2010年後半以降の作品には現在の寄り目で、男性をヤレヤレとした表情で見下ろす時の表情が絶妙な女性キャラが確立します。
加えて捩れた人間を表現するストーリー展開も実に個性的で、少々身も蓋も無いブラックなオチも有りますが、読ませます。
例えば『ピューリッツァ賞』は暗く重いイジメを題材としながら、笠辺哲風の眼を持ついじめられっ子、藤村くんとジャーナリスト志望の奇妙な少女、石田さんの描写はあくまでも淡々と軽く、藤村君の弱者ならではの狡猾さをフル活用した衝撃のラスト数頁も含め、どうしたらこんな話をこれだけ爽やかに落とせるのかが不思議な作品です。
漫画好きな方でしたら読まれて損は無いと思います。お薦めです。
あとがき代わりのオマケ漫画『私はこうして入団しました』付きです。